ハイファンタジーの語り口と人称

今回はハイファンタジーの語り口と人称について語ってみたいと思います。



▼語りの種類


まずはハイファンタジーで活用できそうな、いくつかの語り口について挙げてみたいと思います。

作中のタイミングによって語り口を切り替えてもよいと思います。


『神話や伝承』の語り

聖書とか日本神話などの語りです。

厳かかつ重厚な神話的な語りを使うことで、世界観に運命性や神秘性を与えることができます。

ハイファンタジーにおいて、部分的なものだとしても、神話的な語りというものは雰囲気づくりに重要だと思います。


『記録・日記』の語り

いつ、どこに行って、こういうことがあった、みたいな日記調の叙述だと、あたかも旅の記録を読むような、旅情と発見に満ちた物語を演出できます。

日記調までいかなくても、オムニバス的なストーリー集みたいにして、旅物語っぽくつなげることもできます。


『時代小説』の語り

和風の世界観なら、時代小説の語りを模すことで、時代小説的な世界観をスムーズに表現できます。

その他、西洋中世が舞台でも、慣例的に武家っぽい言葉遣いがされたりしますね。


これらの語りを組み合わせて、『それらしい雰囲気』を仕立てるとよいと思います。



▼人称と語り口


必ずしもハイファンタジー特有ではないと思いますが、人称や語り口の話題にも触れておきます。

人称については世の中には、『三人称』『二人称』『一人称』などがありますね。

アイデアを表現できるベストなものを選べばよいと思います。あえて本稿でそれぞれを紹介する必要はないと思いますが、その中でも、三人称について触れておきます。


おそらく三人称は、壮大なハイファンタジーを書くにあたり、妥当な選択肢になると思います。

三人称といってもいろいろあり、シーンによってシームレスに変化していきます。


『バーチャル筆者の視点』

一連の物語を書いた人の視点。

例えば、物語を神話として書いた神職者とか、

なにかの国の記録として書いた書記官。

放浪記や旅物語を書いた旅人。

このようにバーチャル筆者を設定して書く場合もあります。

また、この語りで『叙述トリック』とかに発展させたり、作中の特定人物が著者だった、みたいな展開も可能ですね。

リアル筆者視点で、複雑な事項の解説などを入れるのもアリです。


『キャラ憑依視点』

特定キャラの中に入る視点で、実質一人称みたいな書き方です。心理描写に適しています。


『キャラ背後視点』

特定キャラの背後にカメラを置く視点で、やや俯瞰した状況描写に適しています。

内面を描かないタイプの、ミステリアスなキャラの視点にも使えます。


『実況者視点』

バトルやホラー的なシーンで、実況風に盛り上げる語りもありますね。


『神の視点』

ハイファンタジーの場合の神の視点は、他ジャンルと違い、リアルな神の視点も描けますね。

神そのものであったり、自然そのものや精霊みたいな存在の視点もありえますね。

まさにハイファンタジーならではです。



このようにシーンによって視点を切り替えると、雰囲気を演出でき、盛り上げられると思います。

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