第6話

『、、ふぅ』




少し息をつき、私は下にいる彼に視線を向ける




「もう、出てもいいか?」




首を縦に振り、彼が出やすいように椅子を後ろに下げる




「あ~、危なかった~」




下にいて体が固まったのか伸びをしながら彼は言う




「マジで助かった!サンキューな」




いいえと首を横に振る




不良なのに礼儀正しいと思ったけど、口には出さなかった




「名前なんて言うんだ?俺は古本万葉」




私は声が出ないので、喋ることは出来ない




だから、会話をする時は紙に文字を書いている




手間だけど、これが1番確実だ




制服の胸ポケットからメモ帳とペンを出す




その私の行動に首傾げた古本さん




『轍文と言います』




そう書いて見せようとした

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