第7話

「あんた、声出ないの?」




その言葉に少し動きを止める




でも、それは事実で変えることも出来ない




だから、首を縦に振る




「そっか」




なんとなく気まずい空気が流れる




どうしよう




「あのさ、メモに書いてあること読んでみてよ」




どうしようかと固まっているといきなり古本さんはおかしなことを言い始めた





さっき声が出ないって分かったのになんでそんなことを?




私が怪訝な顔をしてるのに反して古本さんは余裕の表情だった




「まぁ、そんな顔すんなって。とりあえず読んでみて」




『、、、』




揶揄ってる感じはしない




『轍文と言います』




だから、私はメモ帳に書いた自分の名前を言った




それはもちろん音になることはなかった

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