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「あー!!!!!!」
「うるせーな、なんだよ‥‥‥‥」麻美さんの声に、泉君が呆れたように答える。
麻美さんの明るすぎる色に、思わずヘッドフォンををぎゅっと押しつける。
突然明るい場所に出た時みたいに、目の前がチカチカする。
「数学の宿題忘れてた‥‥‥‥!!」
「あ、やべ。おれもだ」
2人して鞄からノートを取り出したかと思うと、競うように教科書のページを捲り始める。
「シノ、宿題やった?」
「最後の問題だけ、難しかったです‥‥‥‥」
「しののめさん、宿題やったの!?」すかさず麻美さんが、筆箱を探しながら声を掛けてくる。
神様!!とでも言いたそうな目だ。いつのまにか、泉君もこっちを見ている。
「「見せて!!!!」」
えっと‥‥‥‥。
ちら、と桜庭君を見ると、「いいんじゃない?」と背中を押してくれる。
「合ってないかもしれませんが‥‥‥‥」
ガラッ____と音がして、担任の先生が教室に入ってくる。
「やべー!!!」言いながら、すごい速さで宿題を写していく泉君。
「東雲サン、まじサンキュー!!!」
「‥‥‥はい」と私が返す頃には、もう自分の席に座っていた。
嵐みたいな人だな‥‥‥。
「しののめさん、ありがとう!!助かったよー!!」麻美さんが黄色い笑顔で、私のノートを返してくれた。
なんか、不思議な朝だったな、なんて。
夢見心地な気分で授業を受ける。
クラスの人とまともに話したの、いつ以来だろ。
「‥‥‥‥」
やっぱり、ちょっと嬉しい。
口元が緩んでいるのが自分でも分かる。
「しののめさん‥‥‥」
「‥‥‥‥!!」
声のした方を見ると、麻美さんが、じっと私を見ていた。
私、変な顔してた‥‥‥‥?
リスみたいな大きい瞳で見つめられてると、逸らせなくなる。
しばらく、彼女と見つめあってしまう。
大きくて。きらきらして。きれいで_____。
「なんかずっと、嬉しそうだなぁって‥‥‥」
「えっ!?あ‥‥‥‥」
どうしたらいいか分からなくて、「すみません」と反射的に謝ってしまう。
「なにが?」と首をかしげてこっちを見つめてくる。
また、
訳がわからなくなってあわあわしていると、「ふふふ」と笑われてしまった。
私、変なことしたのかな‥‥‥‥?
「しののめさんて、面白いね」
「えっ‥‥‥‥?」
「今まであんまり話したことなかったけど、結構イケるなーって」
「‥‥‥‥?」
イケるな、とは‥‥‥‥?
隣でにこにことしている彼女を見つめながら、「?」を浮かべる。
「あ、あの‥‥‥‥」イケるな、がよく分からないので、話題を変えることした。
「お弁当‥‥‥‥」
「お弁当?」一瞬不思議そうな表情をして、
「あ、一緒に食べる?今日」と嬉しそうにする。少しだけ声が黄色くなる。
私は今朝のお弁当のことを聞きたかったんだけど。
意外な答えが返ってきて動揺してしまう。
「ぇ、‥‥‥‥えっ!?」いきなり、そんな。
しかも、お昼に誘われるなんて‥‥‥‥。
改めて話してみると、普段はそこまで色が激しくないみたい。
これなら、眩しすぎることもなさそう。
「いつもどこで食べてるの?」
「食堂‥‥‥‥」
言ってから、あ、と思う。
麻美さんはお弁当なのに‥‥‥‥。
「一緒に、食べれないですね‥‥‥」
「いいよ、持ってくし!!あと、誰か適当に誘ってい?」
「あ‥‥‥‥、はい」
誰が来るんだろ。
ちょっと緊張する。
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