・2
「あっ!!いずみんおはようっ!!」
振り向きざまにハイタッチする麻美さん。さすが。
「なに、珍しいメンバーじゃん?」言いながら、麻美さんの席に荷物を置いて座ってしまう。
「そこ、あたしの机なんだけどー!!」
そう言っているけど、色はオレンジのまま。怒ってはいないみたい。
友達のノリってやつかな。
なんだか急に騒がしくなってきた。
色がたくさん浮かんでくる。
「____シノ、大丈夫?」桜庭君が、私にだけ聞こえるように心配してくれる。
私がうなづくと、ホッとしたような
『ありがとうございます』と、開いていたノートの端に書く。
「麻ちゃんとお嬢の組み合わせなんて珍しいじゃん?」
どうしたの、と聞いているけど、目線は麻美さんの方を向いている。
「昨日の日直、黒板掃除任せきりにしちゃったから‥‥‥‥」という彼女の返答で、「お嬢」が私のことなのだと気づく。
なんでお嬢‥‥‥‥?
「そういや、昨日さ!!」思い出したように泉君が立ち上がる。反動で机が揺れた。
「2人で一緒にいなかった?」
「‥‥‥」
「‥‥‥」
2人で、とは、私のことだろうか。
「え、なんの話?‥‥‥‥てか、お弁当食べていい?」言いながら、隣で麻美さんがお弁当箱を広げ始める。
「昨日の放課後、お嬢とサクが一緒にいたような気がして」
「まあ、いたけど」桜庭君の答えに、私も
別に隠すような関係性でもない。
色の話を抜きにすれば。
「だから、大丈夫じゃない?」
「ふふぁー?」なにが、と言いたげに(たぶん言いながら)、麻美さんが首を
「サクが手伝ってたんだろ」
「うん、まあ」
「お前、いつの間にお嬢と仲良くなったん?」
「え、いつだっけ?」
「えっ‥‥‥‥!?」桜庭君、いきなりそこで振らないでください。
「えっと、多分、1ヶ月前、くらい‥‥‥‥‥‥?です」
「んんーー!!?」
「お前は飲んでからしゃべれ」
「え、うそ、ほんと?」
頭の中で思い返してみるけど、桜庭君とバスに乗ったのは、今月の始め辺りだ。
「正しくは、3週間と2日ですかね‥‥‥‥?」
私が言うと、しん、と静まり返ってしまった。
どうしよう、変なこと言っちゃっただろうか。
そう思ったところで、突然麻美さんが笑い始めた。
「しののめさん、面白いねっっ‥‥‥‥!!あー、お腹いたぁ‥‥‥‥」
いつの間にか彼女の前にあった大盛りのお弁当が空になっていることに気づく。
速いな、食べるの。
「俺が話しかけたんだよ」桜庭君が助け船を出してくれる。
「シノが学級文庫の整理してて、声かけたんだよね」
「はい」
「ほえ、そうなんだー。‥‥‥‥ってか、図書委員てしののめさんだったんだ!?」
「お前、今さらかよ」と、泉君が肘鉄をお見舞いしている。
「だってほら、あんま目立たないじゃん?図書委員って‥‥‥‥」
「こら!!」デリカシーのないこと言わない!と泉くんにデコピンされている。
仲いいなぁ。
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