第一章
第4話
初めて会った時、運命だと思った。
幼ないながらに全身で“この子だ”って、血が熱くなった。
頼りになって、賢くて、可愛くて、大好きで。
誰にも渡したくなくて。
いつからか、自分の中に黒い感情が芽生え、日に日に大きくなっていった。
「結婚しようね」
姉とその彼氏である、莉音ちゃんの兄のキスを、見様見真似でしてみたら、幸せで。
少し恥ずかしそうにした君が可愛くて、もう一度したのを、今でも鮮明に覚えている。
「莉音っ……莉音っ……っ……ぁ……」
高校に上がり、体が大きくなり、それと同時に邪な感情も大きく黒く、濃さを増す。
手にしたティッシュに放たれた、自らの欲を見て罪悪感が生まれたけど、彼女への愛情が勝ってしまい、消えてなくなる。
「ずっと俺だけの莉音……」
入学式の朝、二人で撮った写真にキスをする。
彼女が孤立するのは気持ちのいいものじゃないけど、誰かのモノになるくらいなら、一人でいてくれた方が俺としても助かる。
こんな事思ってるなんて、彼女は考えてもみないんだろう。
彼女の中で、俺はまだ昔の頼りなくて、抜けていて天然で、手の掛かる可愛い“無害な陸君”なんだから。
ねぇ、莉音、知ってるかな。
俺がどれだけ君を好きで、君を何度も頭の中で穢して来たのか。
こんなのを知ったら、君はきっと俺から離れて行くだろうね。
でも、逃がさないよ。
クラスの女子を名前で呼んだ時の、君の傷ついたような顔を、俺が気づかないわけないんだよ。
だって、ワザとだから。
君が俺を意識して、好きになってくれるなら、俺はどんな姑息な手でも使ってみせるよ。
俺には莉音、君だけだから。
君も、俺だけになればいい。
そしてまた、俺は君に嘘を吐く。
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