第3話
高校まで同じになるなんて思わず、私は最初驚いたけど、嬉しくもあった。
陸がモテるのは、今に始まった事じゃないから、告白をされる場面に遭遇しようと、特に気にした事はなかった。
それは多分、陸が断るのが分かっていたからだ。
ある日、私は陸が私以外の女子を、名前で呼んでいるのを聞いて、ヒヤリとした。
最近やたら親しくしている子がいるのは、何となく気づいていた。
ただ、名前で呼ぶ程だとは知らなくて、モヤっとして、嫌だと思った。
私以外に、特別な人を作らないでと、思ってしまった。
そして、この時初めて、陸への恋を知ったのだ。
一度意識してしまうと、どうしたらいいか分からなくて。
しかも、陸が私のこの気持ちを知ってしまったら、幼なじみとしての関係が崩れてしまったら、陸は私から離れてしまうんじゃないだろうか。
そう考えたら、怖くてたまらなくなった。
だから、私はこの気持ちに蓋をし、鍵を閉めた。
純粋な気持ちで幼なじみの私の傍にいてくれる陸にとって、この気持ちは邪魔でしかないだろうから。
私は、世話焼きで、口うるさい幼なじみでいる事を決めたのだ。
陸が昔「結婚しようね」と言ってくれた言葉は、幼いながらに嬉しかったし、陸が覚えていなくても本気で頷いた。
その時にした、陸とのおままごとみたいなキスが、私の大切な思い出で、宝物だ。
陸が覚えていなくても、私はずっと覚えている。
それだけで、私は強くいられるし、何もなかったみたいに、笑っていられるから。
だから、陸が私を必要としなくなるまでは、出来るだけ傍にいさせてね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます