第3話

高校まで同じになるなんて思わず、私は最初驚いたけど、嬉しくもあった。



陸がモテるのは、今に始まった事じゃないから、告白をされる場面に遭遇しようと、特に気にした事はなかった。



それは多分、陸が断るのが分かっていたからだ。



ある日、私は陸が私以外の女子を、名前で呼んでいるのを聞いて、ヒヤリとした。



最近やたら親しくしている子がいるのは、何となく気づいていた。



ただ、名前で呼ぶ程だとは知らなくて、モヤっとして、嫌だと思った。



私以外に、特別な人を作らないでと、思ってしまった。



そして、この時初めて、陸への恋を知ったのだ。



一度意識してしまうと、どうしたらいいか分からなくて。



しかも、陸が私のこの気持ちを知ってしまったら、幼なじみとしての関係が崩れてしまったら、陸は私から離れてしまうんじゃないだろうか。



そう考えたら、怖くてたまらなくなった。



だから、私はこの気持ちに蓋をし、鍵を閉めた。



純粋な気持ちで幼なじみの私の傍にいてくれる陸にとって、この気持ちは邪魔でしかないだろうから。



私は、世話焼きで、口うるさい幼なじみでいる事を決めたのだ。



陸が昔「結婚しようね」と言ってくれた言葉は、幼いながらに嬉しかったし、陸が覚えていなくても本気で頷いた。



その時にした、陸とのおままごとみたいなキスが、私の大切な思い出で、宝物だ。



陸が覚えていなくても、私はずっと覚えている。



それだけで、私は強くいられるし、何もなかったみたいに、笑っていられるから。



だから、陸が私を必要としなくなるまでは、出来るだけ傍にいさせてね。

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