第2話
出会いは幼稚園。
最初から、何処か天然というか、ぼーっとしてて、抜けていて、目が離せなかった。
初めて話したのは、プールの時間が終わった後に、陸が着替えに手間取っていた時だ。
「こっちに通すんだよ?」
「あー、そっか……へへっ、ありがとう」
男の子なのに、クラスのどの女の子より可愛いと思った。
二人の兄がいた私は、弟が出来たみたいな気分で、何かと彼の手助けをし始めた。
そのうち、陸も私に懐いて、私達は二人でいる事が当たり前になった。
その頃から陸は女の子に人気だった。
けど、幼稚園くらいの年の子供の力なんてたかがしれていて、私は「莉音ちゃんばっかり、陸君と仲良くしてズルい」と言われても、大してダメージはなかった。
陸が私を必要とし、誰より私を優先してくれたから。
陸がいれば、私は友達なんていなくてもよかった。
けれど、小学校に上がる頃には、そうは言っていられなくなってきた。
妬まれるのは今に始まった事じゃないし、一人には慣れていたから、友達はいてもいなくてもたいして困る事はなかったのはあまり変わらなかったけど、成長するにつれ、攻撃される力は強くなるのが当たり前だった。
「どうして私が陸君の事好きなの知ってて、莉音ちゃんばっかり独り占めするのっ!?」
「幼なじみだからって、調子乗んなよっ!」
高学年になればなるほど、女子からの妬みからくる攻撃は激しくなって行った。
だから、私は陸から離れようとしてたのに、昔から空気が読めないのか、ただ気づかないだけの鈍感なのかは分からないけど、陸は私から離れようとはしなかった。
無視をしても、私が強く言っても変わらなかった。
「どうして僕が仲良くしたい人を、僕自身が決められないの? 僕が莉音ちゃんと一緒にいたいからいるんだよ。僕が誰と仲良くしようが、君達には関係ない」
そうまっすぐ女子達に言ってのけ、私の手を取って微笑む陸は、まるで知らない男の子みたいで、頼もしく感じた。
もちろん、中学でもそういう事がなかったわけじゃないけど、それでも陸はいつだって私を選び、私の傍にいてくれた。
だから、私はどんな悪口を言われても、嫌がらせを受けても、乗り越えて来られた。
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