第11話

熱が冷めない中、ジェードがゴソゴソと何かしているけれど、今の私にそれを見る余裕はなくて。



「一緒に、もーっと気持ちよくなろう……ね?」



「……ジェー、ド……? ひ、っぅ、ぁあ、ぁっ……」



甘く囁き、髪を撫でられて脚の間に体を滑り込ませたジェードを見つめると、微笑んだジェードの体が動いて、下腹部に違和感を感じた瞬間、圧迫感と共に何かが押し入ってくる。



「はっ、ぁ、はっ……」



「っ、キツっ……ぁ、はっ、やっぱり、狭いねっ……んっ、はぁ……セレアっ、力抜いて……」



「ゃ、む、りっ……ぁっ……」



ジェードは少し辛そうに眉を顰めて、ねっとりとしたキスをする。



「ぅっ、んンっ、ふぁ……はっ、ん、はぁ……」



ゆっくり体の力が抜けて、その隙を突いてジェードの腰がグイっと進んだ。



中の肉を割開くみたいに入ってくる、ジェードの硬い昂りが熱い。



「は、ぁああぁっ……んっ、はっ……全部、入った、よ……君とこうして、一つに繋がれる日が来るなんて……こんな幸せな事はないよ……もう、いつ死んでもいい、やっ……はぁ……」



ジェードの言葉に、先程ジェードがやろうとした行為に、恐怖で少し震えた。



「君が前にっ、はぁ、何か欲しい物があるかっ、聞いた事あったでしょ? ぁっ……んっ、絶対手に、入らないもの……」



ゆっくり腰が動いて、中にある熱いモノが出し入れされると、痛みの向こうに違う感覚が芽生えているのを感じた。



「ずっと欲しくて欲しくて……恋焦がれて……でも、諦めていたもの……。君だよ、セレア……俺はずーっと君だけを見て、君だけが欲しかった……。出会った時から、俺の世界には君しかいない。君しかいらないんだよ……」



腰を小刻みに動かして、奥を擦る。その度に感じた事のない快感が私の頭を溶かしていく。



拒まないといけないのに、ジェードが相手だからなのかは分からないけど、どうしても突き放せなくて。



「くっ、んンっ……はぁはぁ……汚らしい手で君にあんなにも簡単に触れる、あの忌々しい王子や公爵なんかよりっ、俺の方がずっとっ……ずっと君を愛してるんだよ? ずっとずっとずっとっ……」



怒りと憎しみの混じったような表情を浮かぶて、ゆるゆると腰を揺らし続けるジェードが、私の唇に噛み付くみたいなキスをする。



「はぁ……だからといって……俺には、君を手に入れる事なんて、何があっても無理だから……もう、こうして、君を押さえつけて拘束して、快楽で壊してしまうしか……俺にはっ……」



辛そうな、泣きそうな顔で自らの唇を噛むジェードの唇に、勝手の効かない手を動かして指で触れると、ジェードの目が開かれ、体がピクリと驚きに揺れた。



「ふふっ……君は本当に優しいね。どうしてこんなに優しいの? こんなんじゃ……君を諦められなくなっちゃうよ……」



「ああぁっ……」



少しだけ早さを増した律動に、声が上がる。



「あぁ……気持ちいいねぇ? はぁっ、中、凄く締まってっ、俺のに絡みついていやらしい音立てて……凄くいい顔……可愛いっ、セレア……んっ……はぁ、んんン……」



腰を打ち付けられながら、耳に舌を差し込まれて、犯されているのに気持ちよくなっていて。



正直なところ、嫌じゃないのが困るところで、むしろジェードの奥の部分を知れて喜んでいる自分がいる事に、驚いてしまっている。



諦めないで欲しいと、思ってしまった。



歪んでいるのは、私も同じかもしれない。



静かな部屋を支配する荒い息遣いと二人の喘ぎ、そして肉のぶつかる音といやらしい水音。



私の思考は、もう通常の働きはしなくなって来ていて。



「セレアっ、セレアっ……はっ、ぁっ……中をギュッと締めて……俺を離したくないって、言ってるっ……あぁ……可愛いっ……セレア……好き、好きっ……愛してるっ……」



まるで呪文みたいに、ずっと愛を囁かれ続けて、快楽に痺れる頭が麻痺してくる。



この日、私がここへ来たのは間違いだったのか。



私にはもう、何が正解で間違いか、何も判断出来ずにいた。



「はぁ、あっ、あぁっ、セレアっ、イクっ、よっ……君の奥の、いっちばん、奥にっ……俺を、しっかり刻みつけるっ……からっ……はぁ、はっ……ぁ、受け止めて……ねっ……」



「あぁっ、ジェードっ……もっ……ぁ……」



深く口づけられながら、腰を何度か強く打ち付けて呻くジェードに翻弄される。



息も絶え絶えに、私も絶頂を迎えてそのまま意識を失った。

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