第4話
海の家も無い、人気の無い砂浜だった。岩場の影で僕らは全裸になり水着に着替えた。
辰夫の視線を下半身に感じて僕は後ろ向きになる。
「公彦の尻ってかわいかよなあ。男とに腰のくびれとるもんなあ」
「ばか、なんば見よっとね」
振り向いて辰夫を見ると、股間のものはたくましく勃起して黒々とした陰毛の中から突き出していた。
展望台では暗かったし、木箱の中でもじっくりとは見ていなかったから、この時初めて辰夫のそれを間近に見た。
あんなものが自分の中に突き入れられていたのかと思うとなんだか胸が苦しくなった。
辰夫の海水パンツはだぶっとした半ズボンタイプだったが、僕のは学校の授業で使っているものだ。
僕も辰夫のようなのが欲しかったのだが、親が必要ないといって買ってくれなかったのだ。
着替えてから岩陰を飛び出すと、熱い砂浜で足の裏を火傷しそうになりながら二十メートルくらい先の波打ち際に走っていく。
あちちち、と叫びながら僕の後ろを辰夫が追いかけてくる。
やっと波打ち際にたどり着いて熱くなった足を波で洗ってると、辰夫が後ろからダイビングしてきた。
そして僕の海水パンツを一気に引き摺り下ろす。
足首まで下げられて、素っ裸の状態になった僕はあきれて周囲を見回す余裕も無く海に走りこんだ。
胸まで浸かって一安心したとき、僕の足には海水パンツの感触は無くて本当に素っ裸だというのがわかった。
周囲を見ると、遠くに男女の一団が居たが、僕らの様子には無頓着のようだ。
辰夫はというと僕の五メートルくらい沖に浮上して、右手で得物を高らかに持ち上げて見せた。
紺色の僕の海水パンツだ。
「ばか、返してよ」
「俺に追いついたら、返してやっけん」
辰夫は沖に向かって平泳ぎで進んでいく。
多分この海水浴場を区切っている網の、浮きのところまで行く気だ。 僕も泳ぎには自信が有った。
すぐに辰夫を追って沖を目指す。
黄色い太陽の光が反射してまぶしい水面に、辰夫の上げる水しぶきがきらきらと舞い上がるのを見ながら追った。
汚れたオレンジ色の浮きの上には板が渡してあって、その場所だけちょっとした筏みたいになっている。
僕がそこにたどりつくと、既に上に上がっていた辰夫が手を握って僕を引き上げてくれた。
砂浜からは50メートル近くある。
周囲には泳いでいる人影も無いから、このままここで裸でいても誰かに見咎められる心配はないようだった。
「ほら、返してよ」
手を差し出す僕を、辰夫はしっかりと抱きしめてきた。
勃起した辰夫のものが海パン越しに僕の下腹部に当たる。 邪魔になるその海パンを辰夫は急いで脱いだ。
あらためて抱きつく辰夫に乳首を舐められてずきんと来た。
驚くくらいに感じてしまった。
男なのに乳首が気持ち良いなんて不自然だ。
混乱しているうちに更に辰夫に吸われて、うっとうめき声を上げてしまった。
心臓が、弾けるように波打つ血流を僕の脳に送り始める。
何も言わずに辰夫が僕の顔の前に突き出した股間のものを、僕は無心に咥えていた。
あの日の夜、展望台で女がしていたように僕は辰夫が気持ちよくなるように、それだけを考えて辰夫の熱い棒に舌を絡めた。
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