第6話 闇の影、迫り来る試練



星の神殿での試練を乗り越え、エリンは星の剣を完全に覚醒させた。しかし、彼らが神殿を後にする時、セリナは何か不穏な気配を感じていた。神殿の外には冷たい風が吹き荒れ、空が重く曇っていた。


「何かがおかしい……」

セリナは眉をひそめ、周囲を警戒し始めた。エリンもカイも、すぐに異変に気づいた。空気が重く、まるで何かが迫ってくるような不吉な感覚に包まれていたのだ。


「これは……闇の力が近づいている」

セリナの言葉に、エリンは剣を手にし、カイも短剣を握りしめた。次の瞬間、神殿の周囲の地面が震え、黒い霧が辺り一面に広がり始めた。その霧の中から、異形の影が姿を現した。


現れたのは、人間とも獣ともつかない姿をした巨大な怪物だった。全身は黒い鎧に覆われ、その目は赤く光っている。エリンたちに向かって、不気味な咆哮を上げた。


「こんな場所にまで……!」

エリンは剣を構えたが、その巨大さに圧倒されそうになる。だが、セリナがすかさず呪文を唱え、結界を張ってエリンを守った。


「この闇の存在……ただの魔物じゃないわ。もっと強力な力が背後にいる」


怪物は結界に気づくと、激しく突進してきた。セリナは防御に集中し、エリンに叫んだ。


「今だ、エリン!星の剣を使って、この闇を浄化するのよ!」


エリンは星の剣を高く掲げ、青白い光が再び剣に集まっていく。彼は全身の力を込めて剣を振り下ろし、強烈な光が怪物を包み込んだ。怪物は痛々しい叫び声を上げ、その体は闇の霧となって消えていった。





怪物を倒したものの、エリンたちの前にはさらに危険な道が待ち受けていることを感じていた。闇の力が活発に動き出し、世界全体が危険にさらされているのだ。


「このままでは、闇はますます強くなるわ。私たちは、闇の本拠地を突き止めなければならない」

セリナは険しい表情で言った。彼女は神々の時代から、世界を守るために存在してきたが、ここまで強力な闇が再び現れることは予想していなかった。


「闇の本拠地か……それがどこにあるか、手がかりはあるのか?」

カイが問いかけた。彼もまた、エリンやセリナと共に戦う覚悟を決めていたが、目の前にある脅威の大きさに不安を隠せなかった。


「星の剣が覚醒した今、次に私たちが向かうべきは、闇の力を封じる『神々の石』がある場所。そこにたどり着けば、闇の力を抑える方法がわかるはずよ」


セリナは、かつて神々が残した聖なる石の伝説を語り始めた。その石は、世界に存在する膨大な魔力を封じ込める力を持ち、闇の力の抑制が可能だという。しかし、その場所は長い間、誰にも知られていなかった。


「神々の石……それなら、俺も聞いたことがある」

カイが思い出したように言う。彼の調査の中で、その石にまつわる断片的な情報を得たことがあったのだ。それによれば、その石は**「虚無の谷」**と呼ばれる危険な場所にあるという。





「虚無の谷へ向かおう。そこに行けば、闇の力を抑える方法が見つかるかもしれない」


決意を新たにしたエリンたちは、次の目的地として虚無の谷を目指すことにした。そこは、闇の力が強く影響している場所であり、危険な魔物たちが住んでいるとされる。


道中、エリンは自分が成長してきたことを感じながらも、心の中で重い責任感を抱えていた。自分がこの旅で何を成し遂げられるのか。星の剣は確かに覚醒したが、それでもまだ彼には多くの試練が待っているのだ。





旅を再開し、虚無の谷へ向かうエリンたち。道は険しく、闇の力が世界全体に影響を及ぼしつつあった。彼らはこの世界を救うことができるのか?次なる試練と、さらなる敵との戦いが待ち受けている。





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