第2話 旅立ちの光



エリンは、星の剣を手に取り、精霊の女性と共に遺跡を後にした。彼の心は不安と期待が入り混じっていた。自分が本当に世界を救うような存在なのか、そして、なぜ自分が選ばれたのか――その答えはまだ見えない。


「まず、星の神殿へ向かう必要がある」

精霊の名はセリナ。彼女は星の魔法を司る古代の精霊で、長い間この地を見守ってきた。セリナはエリンに、星の剣を覚醒させるために、かつて神々が築いた星の神殿に行く必要があることを告げた。そこには、剣に秘められた力を解放する鍵があるという。


エリンは深い森を進んでいく。周囲には昼間とは異なる気配が漂い、魔法の残響が森に満ちていた。だが、森の中には彼らを見つめる影もあった。


道中、エリンとセリナは突然現れた獣のような影に襲われた。それは、体中が黒い霧に覆われた巨大な狼の姿をしており、目は闇の力に支配されていた。


「気をつけて、これはただの獣ではない。闇の魔物だ!」

セリナの警告と同時に、エリンは剣を構えた。しかし、彼は戦いの経験など皆無だった。狼のような魔物が牙を剥き、エリンに飛びかかる瞬間――


「今だ、剣に星の力を込めて!」


セリナの声が響き、エリンは反射的に剣を振り下ろした。すると、剣の刃から青白い光が放たれ、魔物を包み込む。魔物は苦しげに咆哮し、その身体は霧となって消え去っていった。


エリンは肩で息をしながら剣を見つめた。その剣は、今までに感じたことのない力を放っていた。


「君にはまだ、力が眠っている。だが、今の君の剣では完全に魔物を浄化することはできない。だからこそ、星の神殿へ行かねばならないのだ」


セリナは優しく語りかけ、エリンの肩に手を置いた。彼は恐怖と同時に、心の中に小さな決意の火が灯るのを感じた。自分はまだ弱い、しかし、強くならなければならない。彼の旅はまだ始まったばかりだった。





その後、エリンとセリナは再び森を抜け、広大な草原に足を踏み入れた。草原の向こうには、遠くにそびえる白銀の山々が見え、星の神殿がその先に隠されていることをセリナは示した。


「あの山々の先に神殿がある。その道のりは決して簡単ではないが、私が共にいる限り、君は道を誤ることはない」


エリンは頷き、星の剣を腰に収めた。これから彼が挑む試練、そして出会う仲間たち――そのすべてが、彼を導いていく運命の道を形作っていくのだった。



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