星影の大地

トシ

第1話 星影の大地


古代の大陸、ティルファーン。この広大な地には、かつて神々が降り立ち、自然と魔法が交わり、生命が満ち溢れていた。しかし、神々が去った今、世界はその痕跡を残しつつも、人間、精霊、獣たちがそれぞれの争いを繰り広げる不安定な均衡の中にあった。


山脈に囲まれた小さな村、リューガでは、夜ごと空に輝く「星の河」が神聖視されている。村人たちは、その光を頼りに古の知恵を守りながら慎ましく生活していた。


そんな村に生まれた少年、エリンは、幼い頃から「星の声」を聞くことができる不思議な力を持っていた。しかし、その力は村の長老たちからも理解されず、エリンはいつも孤立していた。彼の力は神々が残した「星の魔法」の一端であると言われるが、正確な由来を知る者はいなかった。


ある日、エリンが星の声に導かれ、村外れの森へ足を踏み入れると、古い遺跡が現れた。その遺跡の中心には、封印された一本の剣があり、その刃には淡い青い光が宿っていた。


「これは……星の剣?」


エリンが剣に手を伸ばすと、周囲の空気が震え、彼の目の前に一人の女性が現れた。彼女は透き通るような銀の髪を持ち、古の精霊であることがすぐにわかった。女性は静かに口を開いた。


「星を救う使命が、君に託された」


戸惑うエリンに、精霊は語り始める。この世界は再び危機に瀕しており、かつて星の魔法を操る「星の勇者」が世界を救ったが、その力は忘れ去られて久しい。そして今、闇の力が再び目覚めようとしているという。


エリンは迷いながらも、精霊に導かれ、旅立つ決意をする。自分が持つ力の真実を知り、星の剣を手に取った時、彼の運命は大きく動き出すのだった。





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