第72話

中に挿入ってくる瞬間が好きだ。



「ん、ぁあっ……」



暖かくて、心地いい圧迫感と程よい痺れ。



「中がうねって、離れないでって絡みついてくる。ほら、ココ。ココにしっかり集中しろよ」



鳩尾辺りから、おへそへ指が滑り、お腹の下辺りを優しく押される。



押された部分が、中と外の両方からジリジリと快楽となって、体を支配していく。



なのに、ゆるゆる動かれ、もっと動いて欲しくて、もどかしくて、脚で逸耶のお尻辺りを撫でる。



「ん? 何? 足りないのか? そんないやらしく腰をくねらせて……どこまでエロく成長すんのかねぇ」



「もっと、奥、にっ……」



「まぁ、そう慌てんなって。まだ入れたばっかだろ。これからがお楽しみ、だろっ……」



「んゃあぁあっ! はっ、あっ……」



一気に奥に突き入れられ、快感で頭がビリビリと痺れる。



呼吸をしたくて反らせた喉を震わせる。



「あーあ、そんな派手にイっちゃって……体ビクビクさせて、ほんと可愛いなお前……」



首筋にキス、舌が這い、吸い付かれ、噛みつかれる。



その一つ一つの動きに、いちいちビクビクと反応するから、逸耶の楽しそうに喉奥で笑う声がする。



「あっ、こらっ、おいっ、んっ、ぅ、腰、そんな揺らすなって……中、締めんなっ……」



「やぁ……もっと、欲しっ……」



自ら腰を揺らして、いい場所に来るようにする。



「主導権握られんのは、気に入らねぇなっ……」



「あぁあっ、あっ、やっ、だめっ、んっ……」



「あぁ? 駄目だぁ? おねだりしたのは、お前っ、だろーがっ……はぁっ……ぁっ……」



突然奥を一気に何度も突き入れられ、あられもなく声を張り上げる。



休みなく律動が繰り返され、それだけでもたまらないのに、胸の突起と秘部の突起を同時に弄られると、達さないわけがなくて。



「全部はっ、あっ、ダメっ、あぁっ、おかしく、なっちゃっ……」



「いいよ……ほらっ、んっ、奥っ、だっけ? 顔、トロットロじゃねぇの……エロい顔、可愛すぎだろ……」



「い、つやぁ……」



「それで名前呼ばれるのは、ヤバいな……。ん? キスして欲しい?」



逸耶に手を伸ばすと、その手が掴まれてそのまま手の平に口づけられ、そして唇を塞がれる。



「んんっ、はぁ……ぅンっ……」



揺さぶられながら、ねっとりと絡み付くキスに酔いしれ、突き上げられる快楽に溺れる。



「はぁ……んっ、ぁ、顔トロットロ……もう何回イったんだ? ん? あぁ……はぁ……」



声は聞こえるのに、答える気力も考える余裕もない。



「あぁっ……あっ、あんっ、ゃあっ……イっ……」



「またイク? はぁ、じゃぁ、俺もそろそろっ……」



腰を掴まれ、軽く上に浮かすような体勢にされると、中にいる逸耶の昂りが更に深く挿入って来る。



「お前の一番いい場所、思いっきり擦りながら、二人で気持ちよくなろう、なっ……」



「あっ、ま、って、やっ……ああぁっ、そこ、は、だめっ、やぁっ……」



「駄目じゃねぇよっ……今更駄目なとこなんてっ、一つも、ねぇっ、だろっ……はぁ、んっ、ああっ……」



気持ちよすぎて、頭が真っ白になる。



好きな人の肌に触れて、快楽だけじゃなく、心まで満たされる行為は、こんなにも気持ちよくて、幸せで。



好きが溢れて止まらない。



「逸、やっ……あっ、んっ、あぁっ、ぁあっ、もぉ、む、りぃ……イっちゃっ……あぁあぁっ……」



「はぁ、ぁっ、ンっ、締めすぎっ……はっ、俺も、イクっ……出るっ……」



噛み付くみたいなキスをされ、ゾクゾクと快感が駆け上がって来て、目の前がチカチカして、達する。



頭の中が真っ白になって、何も考えられず、そのまま意識を手放した。



逸耶が優しく頭を撫でてくれたのが、目を閉じる時に感じた感触だった。

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