第48話
検査をいくつかして、また眠っていた私が目を覚ました時、次に私の視界に入ったのは、先生だった。
「よぉ、久しぶりだな。元気……ではねぇな……」
「先生も、元気そうには見えませんね。顔、疲れてまますよ」
「そりゃまぁな。どっかのバカがドン引きするような問題起こしたもんだから、教師全員がてんやわんやだわ」
連日の寝不足とストレスで、どんよりしている先生が、私の頭を恐る恐る撫でる。
そんなに気を使わなくてもいいのに、先生が怖々私に触れるのが、申し訳ないけど少しおかしい。
「何で笑うかね……笑うとこあったか? どっちかと言えば「先生素敵っ! キュン」ってなるとこだろ」
「はははっ、先生相変わらずですね」
久しぶりに笑った気がする。
やっぱり先生は、私の心を解すのが上手い。
先生は、ゆっくり私が眠っていた間に起きた事を話してくれた。
私がいなくなってから、明彦はずっと私を探し回っていて、その行動が段々おかしくなって行って、綾坂さんがずっと気にかけていた。
そして、明彦がナイフを持って出かけるのを見つけ、大人という大人に片っ端から連絡をしてくれて、そのまま後をつけて。という流れだったらしい。
あの異常な日常から、私は彼女の行動に助けられたのだ。
貴臣は何とか一命は取り留めたらしく、彼は被害届も出さず、ちょっとした兄弟喧嘩がヒートアップしてと笑ったらしい。
明彦は精神疾患も疑われた為、病院の施設に入ったのだという。
「で、厳しい事を言うようだが、問題はお前にもある」
私に問題。
言われて、私は何となく想像が出来た。
「今は薬で落ち着いてるが、多分、今後お前には少し辛い日々になるかもしれない」
私の考えている予想は、当たっているだろう。
だって、既に薬の効果は切れ始めているのが、何となく分かる。
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