第43話

先程からずっと握られている手が、指が、微妙に焦らしてくる動きが、私にトドメを刺してくる。



「ゃ……貴臣っ……」



「ん? 何?」



至近距離ある貴臣の唇に引き寄せられるように、首に腕を回すけど、簡単に避けられてしまう。



「俺の覚悟、見てもらわなきゃ、ね?」



煽られ、焦らされ、貴臣の張った甘美な罠に、ゆっくり誘い込まれる。



意地の悪い、やっかいな男に捕らえられてしまった。



「貴臣だけのものになるっ、からぁ……」



もどかしさに、はしたなく狂っていく自分。



「本当に? 後からやっぱり駄目は、なしだよ?」



「言わないっ、言わないからっ……」



縋り付いているのはどちらなのか。



「柚菜……おいで……」



広げられた腕に吸い込まれるように、貴臣の膝に跨って抱きついた。



「んっ、はっ、ふふっ、柚菜もこんなに俺の事求めてくれてるの? 嬉しいね……。ねぇ、俺の事、好き?」



おあずけだった貴臣の唇に食らいついて、自ら舌を絡めて求める。



「んっ、ぅン、はぁ、好きっ、好きっ……」



「クスクスっ、そっかぁ。ほら、柚菜のだーい好きな俺の硬いの、当たってんの、分かる?」



夢中でキスをして、股の間で硬く主張する貴臣の昂りを、自らの秘部に激しく擦り付ける。



この行為が、たまらなく気持ちよくて、小さく何度も絶頂する。



貴臣はそんな私を楽しそうに眺めている。



「これ、気持ちいねぇ……はぁ……っ、ぁ、腰めっちゃ激しいじゃん……。そんなにいいの? ほんとこれ好きだよね、柚菜はっ……んっ……」



「だってぇ……き、もちぃ……あぁっ……」



「じゃぁ、中に挿入れなくても、いいよね……」



また意地悪。



耳元で囁きながら耳を舌で犯しながら、残酷な言葉でまた私を狂わせる、悪い男。



なのに私は、この男がするこの意地悪な行動が、嫌いじゃないのだから、始末が悪い。



「やぁっ……中、欲しっ、ぃよ……貴、おみぃ、お願っ……」



「ふふっ、柚菜のそういういやらしいとこ、たまらなく大好きだよ……。なら、どうしたらいいか、分かるよね?」



言われ、私は貴臣の膝から降りて、床にペタリと座り込んだ。



貴臣の開かれた足の間で、ズボンを持ち上げて主張する貴臣の熱い滾りを、引きずり出した。



「んっ……はぁ……柚菜が何度も激しく擦りつけるから、ぅ、っ、は、ぁ……あんま、もたないかも……」



「は、む……んっ、ンンっ、ぅんっ、ふぅ……」



口いっぱいに頬張りながら、舌や喉を駆使して精一杯教え込まれた奉仕の仕方で、貴臣を気持ちよくしようとした私の頭に、貴臣の大きな手が乗せられる。

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