第31話

そのまま明彦の家に連れて来られ、私は明彦の部屋のベッドに座っていた。



丁度両親共に出張だから、一週間は帰らない。



どんなタイミングなんだと、聞いた時には笑ってしまった。



「おっ!? やっぱり柚ちゃんじゃんっ! 予想は当たった……って、顔色悪いけど、大丈夫?」



私の隣に腰掛け、お兄さんが私の額に額を当てる。



綺麗な顔が近くにあるのを、ただボーッと見つめる。



「元気ないとこ悪いんだけどさ、そんなに見つめられちゃ、お兄さんイケナイ気持ちになっちゃうよ?」



今の私には、もうどうでもいい。



相手が明彦かお兄さんかなんて、どうでもいいんだ。



明彦とは違う、ゾワリとする大人のキス。



「んンっ……」



「やっぱり柚ちゃんの唇は極上だね……マジでハマるわ……」



啄むキスから、撫でるようなキスに、子宮が疼くみたいないやらしいキス。



私は何も考えず、ただキスに身を委ねる。



「はぁ……柚ちゃんは、俺とのキス、好き?」



そんなの分からない。けど、気持ちいいのは確かだ。



私は頷く。



「明彦なんてやめて、俺にすれば? イケナイ事もっとたくさん教えてあげるよ……」



この人といたら、確実に幸せにはなれないのだけは分かる。



だけど、今の明彦といてもそれは変わらない。



「膝、跨いで」



言われるがまま、私はベッドに座るお兄さんの方を向き、膝に跨って座った。



「舌出して」



言われて出すと、ゆっくり吸いつかれ、絡め取られる。



兄弟でも、やっぱり遊んでいるだけあって、上手いのはあまり経験がない私にも分かる。



頭が痺れて、下腹部が熱く疼き始める。

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