第29話

跳び箱に座らされたまま、私は次に何を言われるのか、ビクビクしながら待つしかなかった。



「柚、怖がらなくていいよ。柚さえいい子でいれば、痛い事も怖い事もないんだから」



優しい声で、表情で笑って言う明彦が、頬を撫でた。



「脚、開いて。出来るよね?」



私はゆっくり脚を開く。



「いい子」



言って、明彦は開かれた脚の間に体を滑り込ませて、更に密着してくる。



「柚からキス、してよ」



顔が近づいて、至近距離で見つめられる。



私が動けずにいると、また明彦の声が低くなる。



「ほら、早く。出来るだろ? さっさとしろよ」



私は、ゆっくり明彦に顔を近づけて、その唇に触れるだけのキスをする。



甘さなど何処にもない、最悪のキス。



「そんなんじゃ駄目だろ? ほら、もっとちゃんとしてよ」



もう一度、明彦の唇に触れる。今度は少し長く。



「口開けて、舌出して。ほら、べーって」



言われるがままにする私の舌が、明彦の舌に絡め取られ、そのまま味わうみたいに口内を犯される。



「んンっ、ンっ、ふぁっ……」



「柚の舌、すっげぇ美味いよ……最高……んっ……」



いやらしく動き回る明彦の舌に、開いた脚が閉じていく。



「柚、気持ちぃの? ククっ……腰、動いてるよ」



自分のいやらしい体が心底嫌いだ。



「ほら、しっかり脚、開いて……うわ、キスだけでここぐちゃぐちゃ……可愛い……」



顔を背けるしかない私の耳に、楽しそうな明彦の声が届く。



「どうして欲しいか言って? 指で撫でて、擦って欲しい? それとも……こうやって、舌でゆっくり舐めて欲しい?」



「ひ、ぁあぁっ!」



「あぁー……すっげぇいい声……気持ちいねぇ……」



あやすみたいに囁いて、下着を濡らした秘部を、熱い明彦の舌が、ゆっくりと舐め上げた。



体は跳ねて、ビリビリと頭は痺れ、喉を反らして高い声で反応する。



「はぁ……柚の蜜がどんどん溢れてきて……美味いよ、柚……」



ワザとなのか、ジュルジュルと大きな音を出しながら愛液を啜る明彦に、私はなす術がなく、ただ喘ぎ悶えるだけ。



「ほらっ、たくさんイって、んっ、俺の事しか考えられなくなるくらい、乱れて……はぁー、すっげぇ可愛いよ、俺の柚……」



「ゃっ、ぁっ、やだっ、あき、ひっ……またイっ、クっ……ぅ、あぁあぁっ……」



こんな無意味な事、やめたいのに。次から次へと絶え間なく与えられる快楽に、私は勝てなくて。



何度も痙攣しながら達しては、また同じように達するを繰り返す。



息も絶え絶え、ぐったりした私の体に明彦の体がのしかかり、耳元で優しく囁かれた。



「二人でいっぱい気持ちよくなって、秘密の相手なんて忘れるくらい、俺でいっぱいにしてあげるからね」



何処か遠くに聞こえるカチャカチャという音が、ズボンのベルトの音だと思った時には、私の入口に明彦の昂りが宛てがわれていた。



「柚の大好きな奥、いっぱい突いて突いて突いて、中を俺の精液で満たしてあげるね。そしたら俺の子、孕んで……」



物凄く恐ろしい言葉が聞こえ、私は必死に体を起こそうとするけど、明彦が体重をかけていて、ビクともしない。



「やだっ、やめてっ! 明彦っ! ダメっ!」



「大丈夫……俺達の可愛い赤ちゃん作ろ。楽しみだね、柚っ……」



「やだっ! ゃめっ……ぃゃあああぁぁぁっ!」



明彦の胸を力いっぱい押そうとするけど、拘束された状態ではどうにも出来なくて、明らかに何も着けられていないであろう明彦の昂りが、無慈悲に私の中に突き入れられた。



「ぁっ……あ……」



「はぁー……ククッ……分かる? 俺のがしっかり奥、届いたよ……柚……嬉しいね……」



髪を撫でる手は優しいのに、何でこんなに苦しいのだろう。



「じゃぁ、動くよっ……ンっ……」



「あぁっ……やぁあっ……」



ゆっくりなんて動く気がないようで、最初から激しく腰を打ち付ける明彦は、楽しそうで。



「ほらほら、柚の中っ、すっごい喜んでるよっ……んっ、はぁはぁ……俺もすっげぇ、ぁ、気持ちいよっ、あっ……ぅっ……」

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