第21話

先生がソファーにいる私を見下ろす。



「この服気に入ってるのに。可愛くない?」



「最近のガキは発育が良過ぎて困るな」



呆れたみたいにため息を吐く先生に、更に私は上着を下げて胸を強調するように、上半身を下に下げる。



「疲れた? おっぱい揉む?」



「よく聞くセリフで大人をからかうな」



デコピンされてしまった。



乗ってきてもらえなくて、ちょっと悔しい。



とりあえずせっかく用意してもらったお風呂で、ゆっくり体を温める。



湯船に浸かりながら、お湯の揺れを見つめて頭を整理する。



「はぁ……長い戦いになりそうだなぁ……」



今日の明彦の反応を考えると、あまり期待出来ないだろう。



体だけでもさっぱりした私は、用意された大きな服を身につけ、歩きづらいながらもリビングに戻る。



「先生、この服おっきぃ」



「あ? 文句言うな、女の服なんてねぇんだから」



「女、この家に入れたりしないの?」



「しねぇよ、後々面倒だろーが」



私はいいのかと、少し浮かれてしまう。



「先生」



「ん?」



「エッチ、する?」



「っ!? ゲホゲホっ、ばっ、お、おまっ……急に、何をっ……」



吸っていたタバコでむせる先生の前に立つ私は、上の服とパンツしか身につけていなかった。



先生を、誘っているのだ。



「ちゃんとズボン履け、冷えるぞ」



「汚い私は、嫌?」



「アホか。お前は十分綺麗だ。ヤケになんな」



別にヤケになっている訳じゃない。



私は先生の膝に跨った。



「おいっ、やめろ」



「逸耶、抱いて……明彦の感触、消して……」



私は先生、逸耶に抱きついた。



もう、私の中に好きだった明彦はいない。



「……ガキのくせに、とんでもない破壊力持ってんな、お前。野放しにしとくのが怖ぇわ」



「ぁっ、んっ……」



お尻を逸耶の手がいやらしく撫でると、体に甘い痺れが走り抜ける。



やっぱり、逸耶の手、温もり、匂い、全てが私を安心させる。



「逸耶が恋人だったら、よかったのに……」



「あ? やめとけ。俺はだいぶややこしいってのは、自分が一番よく分かってるからな。オススメはしねぇ」

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