第13話

少しの無言。



首元に明彦の顔が埋まる。



「なぁ……何で今日そんなエロい格好してんの? 普段からこんな露出多いの?」



「ううん。普段はもう少しマシだよ。今日は明彦と会うから気合い入れたの」



半分本当で半分嘘。



綾坂さんより、私の方が明彦を夢中に出来るんだという、いない彼女へのマウントが半分だ。



変に負けず嫌いを発揮してしまっている自分に笑える。



明彦の手が、ミニスカートを履いた私の脚をゆっくり撫でる。



「脚もこんな出してさ……」



「ん……制服もそんなに長さ変わらないよ? てか、触り方がいやらしいですよ、明彦君」



「ワザとですから。俺をこんなに夢中にさせる悪い子に、お仕置してるんです」



「ふふ、優しいお仕置だね」



横にある明彦の顔を見ると、明彦もこちらを見た。



「柚……マジでめっちゃ好き……」



「ふふ、熱烈だね……。明彦もエッチな顔してる」



「そりゃ、こんな格好されちゃ、期待すると言いますか……」



明彦は気づいてるだろうか。



私が貴方の言った好きに返事をしなかった事に。



気づかないで。



その方が、貴方の為だから。



「その……柚さん……。このまま進んでもいいですか?」



「ふふっ、ここでダメって言って止められる? お尻に何か硬いものが当たってますが?」



「すみません、無理です」



首筋にキスが落ち、顔だけ振り向くと、キスをされる。



多分、今日が彼との最後のキスとなるだろう。



そんな予感がした。

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