第28話

体を密着させて、思い切り揺さぶられ、自らもそれに合わせて腰を振る。



「そんな、に、腰を振ってっ……んっ、いやらしい体に、なったもんだなっ……っ、あぁ……気持ちいい、のか? ん? はぁ……」



「いいっ、気持ち、ぃっ……ああぁっ、ふっ……」



低く響く甘い声も、優しく撫でる男らしくて大きな手も、私を快楽に溶かす全てがたまらなくて、全身で愛おしさを表すように縋り付く。



腰を持ち上げられ、いい場所ばかりをゴリゴリと擦られ、子宮口を叩かれ続ける物凄い快感が体を走り抜ける。



体を痙攣させながら、息吐く暇もなく何度も絶頂を迎え続け、朦朧とする意識を激しい律動が快楽に引き戻す。



「ひぃっ、ン、おかし、くっ、なっちゃ……んンっ、や、ああぁっ……」



「それ、はっ、男冥利に尽きるなっ……」



楽しそうに笑うグラウス様が、腰の動きを激しくさせたのを合図かのように、二人の限界を知らせる。



肉のぶつかる音が大きくなり、荒い息がお互いの喘ぎで掻き消える。



「あぁ……くっ、もっ、出るっ……はっ、中に、出すぞっ……」



「あぁっ、あっ、んぁっ、き、てっ……ぅ、ふっ、はっ、あぁぁあぁあっ!」



心地良い力加減で抱きすくめられ、二人で絶頂を迎えると、中でグラウス様の昂りが波打つのを感じた。



優しいキスをされたのを最後に、私の意識は途絶えた。



好きな人の香りが鼻をくすぐって、温かな温もりで包まれながら目覚めると、そこには愛おしそうに微笑む、愛おしい人。



髪を撫でられている事がくすぐったくて、グラウス様の腕の中で身動ぐ。



「おはよう」



「おはよう、ございます……」



初めてでもないのに、物凄く恥ずかしくなってしまって、シーツを鼻辺りまで持ち上げる。



「何を今更恥ずかしがってんだ? 可愛い奴だな」



クスリと笑うグラウス様の顔を見上げる。



「どうした?」



こんなに幸せになっていいんだろうか。



ニヤニヤしてしまうだらしない顔を隠す為、広くて逞しい胸板に額を擦り付けて、埋まる。



「見ないで……今、変な顔してる、ので……」



「それは興味があるな」



「やだっ……見なっ……ンっ……」



顔を上げさせられ逸らそうとすると、頬を大きな手が包んで阻止されてそのままキスが落ちた。



ふわりと笑うグラウス様に、顔がカッと熱くなる。



「どんな顔でも、可愛いよ」



歯が浮くようなクサいセリフが、グラウス様の口から出た事に驚いていると、不思議そうに顔を覗かれた。



「百面相して、どうした?」



「グラウス様が、カイシュ様みたいな事を言ったので、少し驚いています……」



「ほぉ、俺の腕の中にいながら、他の男の名前を呼ぶとは……お姫様には、仕置きが必要かな?」



そう言って枕にしていた腕が引き抜かれ、あっという間に組み敷かれた。



明け方近くまで抱かれていた体は、それだけでまた熱を取り戻す。



そのまま、また私の体は彼の与える快楽の波に飲まれて行った。

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