第26話
また小さく口付けられる。
軽く触れたはずの唇が、妙にねっとり絡みつくようで、ゾクリと体が粟立つ。
「気持ちを自覚して、一度でも抱いてしまえば、後はもうあっという間だ。お前に溺れていると言っただろ? もう抜け出せない」
艶を帯びた目で見つめられ、ドレスのスリット部分の間から出た脚を、指先でなぞられてゾクリとする。
「あ、あの……グラウス様は……その、レティア姫と親しいの、ですか?」
「ん? レティア姫か? いや、まだ彼女とは三度くらいしか会った事はないな。彼女がどうした?」
言いながら、グラウス様の唇が首筋に落ちる。
「んっ……親しそう、だったので……」
「親しいという程じゃないな。それほど彼女を知らないしな。あ、ただ、前に縁談の話は来たが、候補は俺だけじゃないし、俺が選ばれる事もないから、あまり気にした事はない」
縁談と聞いて、肝が冷える。
レティアとグラウス様が婚約なんて事になれば、私は立ち直れない。
「何て顔をしてるんだ。お前がいるのに、俺がそんな話受けるわけないだろ。お前がいなかったとしても、俺に彼女の存在は重すぎる」
グラウス様はお手上げと言うように、軽く手を上げて見せる。
「俺はお前程モテないんでね。……あぁ、それで怒っていたんだな。彼女との仲を疑っていたのか?」
意地の悪い顔で「妬いていたんだな?」と笑う。
余裕で勝ち誇ったような顔でニヤリと笑い、鎖骨辺りに口付ける。
「そういえば、ずっと言えてなかったが、今日のセレアはいつもと違うな。これは誰の為のドレスアップなんだ?」
「ぁっ……グラ、ウス様しかっ、んっ、いないに決まってるじゃないです、か……ゃっ……」
首筋を舐め上げ、脚をサワサワと撫で付ける。
くすぐったさと、ゾクゾクする感覚に身を捩る。
「色っぽくて、綺麗だ……。だが、今日のように妖艶な姿を、他の男にあまり見せるな。嫉妬でどうにかなりそうだ」
「グラウス様、は……ンっ……今日の私、にっ……」
「あぁ、すっかり夢中だ……。このままもっと淫らに乱れさせたくて、たまらない……」
ドレスの上から、胸に触れられ、優しく揉み包まれる。
指先が布越しに先端を刺激して体が震え、もう片方が布ごと唇で挟まれるだけで、快感が体を通過する。
「あぁっ……ンんっ……」
「ずっと聞きたかった声だ……我慢するな……」
手の甲を唇に当てて抑えていた声が、グラウス様の手によって暴かれる。
数日会わなかった日々が、私の彼への熱を増して、爆発するようだった。
「この美しい状態を崩すのは勿体ないが、脱がせてもいいか?」
「はい……」
ゆっくりとした手つきで、いやらしく滑る大きな熱い手に、私の心も全て開かれていく。
静かな部屋に、二人の興奮が分かる息遣いが響いて、これから先にある甘美な行為に期待が膨らむ。
「何だ? 触りたいのか?」
「私も、グラウス様に、気持ちよく……なって頂きたいです……」
密着するグラウス様の、もう勃ち上がり始めている昂りに、ゆっくり手を這わせる。
ギラギラと力強く揺れる瞳の妖しい色に翻弄されるように、グラウス様の体を押す。
簡単に体勢が逆になり、グラウス様の開かれた脚の間に、上半身を滑り込ませた。
「無理するな、経験ないんだろう?」
「ない、ですけどっ……でもっ、出来ない事はありませんっ……」
内緒だけれど、アリヤと二人で書庫で見つけた少し大人な本を、夢中で読んだ事があった。
そこには、何処かのメイドと主の話で、御奉仕の仕方までもが鮮明に詳しく描かれていた。
まだまだ未熟な私達には刺激が強すぎたけれど、興味は深々で恥ずかしさを感じながらも、読んだ内容は頭にしっかりこびり付いている。
それを思い出しながら、グラウス様のズボンに手を掛けて、緊張する手で昂りを取り出した。
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