第24話

抵抗が意味をなくし、涙が滲む。



「今は泣いても無駄だよ……。契約だけの関係であろうと、今君は俺のものだ。他の男によそ見するのは、駄目だよ……浮気なんて、絶対に許さない……」



「浮気なんて、してないっ……」



契約。



改めて言われると、胸が痛くて、益々涙が溢れてくる。



彼が私のものになるわけないって、分かってるからこそ、余計に辛い。



いつか、彼が本当に愛する人が出来て、私の元を去るのかと考えるだけで、胸が張り裂ける思いだ。



下着から手が入り、突起を擦られると、抵抗しているはずの体から力が抜ける。



「あぁ、んっ、ゃあっ……」



「知ってる? この場所、他にも車が止まってるだろ? ここは結構有名なカーセックス場所なんだって……」



興奮を見せて妖艶に微笑み、自らのベルトに手をかける貴也さん。



「しかも、それを見に来るような人もいるらしい……どうする?」



「やっ……」



あっという間にズボンを脱がされ、貴也さんの体が足の間に滑り込んで来て、昂りが宛てがわれて、背中が冷える。



本当にこんな場所でスるつもりなのか。



「やだっ、貴也さんっ! こんなのっ……」



「今日はゴムもないから、そのまま君の中に入るよ。まぁ、あっても付ける気はないけどね……。優しくは、出来ないから……ちょっと痛いかもしれないけど、我慢してっ……」



「ひっ、ああぁああっ!」



貴也さんの大きくなったモノが、容赦なく押し入ってくる。



正直、何度も受け入れているせいか、酷く痛む訳ではないけど、さすがにあまり濡れていないから痛みは多少ある。



それでも悔しい事に、すぐにそれもなくなり、快感の波が押し寄せる。



知らない間に私の体は、完全に彼からの開発によっていやらしい体に成り下がった。



「見られるかもしれないのにっ、声が、甘くなってきたねっ……気持ちいいの? ん? はぁ……ぁあ……俺も、気持ちぃっ、よっ……んっ……生で君の中にとかっ、あっ、考えるだけでっ、やばっ……っ……」



見られるのは嫌で仕方ないのに、私は彼に嫉妬されているのを喜んでいる。まるで、本当に愛されているのだと、錯覚出来るから。



「あ、んっ、貴也さっ……あっ、あっ、ん、ちがっ、う、からっ……誤解っ、しな……でっ……」



体を激しく揺さぶられながら、必死に言い訳を繰り返す。



彼には、誤解されたくない。



私の気持ちは、言えないけれど。



「迪香っ……」



「んっ、ンぅっ……はっ、んんっ……」



ネクタイで拘束されたままの腕を貴也さんの首に回し、引き寄せてキスをする。



自分の気持ちを口にしてしまわないように、自分から彼の唇で唇を塞いだ。



先程までの乱暴なものではなく、優しくて甘い、とろけるようないつものキスが返って来る。



それだけで、胸が熱くなり、先程とは違う涙が流れた。



彼が私を愛してくれたら、いいのにと願いながら、キスを求め続けた。



キスを続けたまま、律動が激しさを増す。



二人の重なった唇から漏れる、興奮を混じらせた吐息と喘ぎが、車内に大きく響いた気がした。



「くっ、も、イクっ……ちゃんと外にっ、出すっ、からっ……も、少しだけっ……」



「貴也っ、さっ……あっ、あっ……い、からっ、中でっ、い、からぁっ……」



「くっ、駄目だっ、ぅあっ、迪香っ……っ、足っ……離してっ、中でっ、出っ……」



苦しそうに呻く貴也さんの腰に足を巻き付け、離さないように力を込める。



そして、自ら腰を揺らして貴也さんの絶頂を促す。



「そんなっ、腰っ……動かしちゃ、駄目だってっ……それ、されたらっ、出るっ……からっ……」



「来てっ、出してっ、中……でっ、あぁっ、貴也ぁっ……」



夢中で貴也さんを誘い、煽る。



「クソっ……何で、んなっ、可愛い事っ、言うんだよっ……」



眉を寄せ、貴也さんは腰の動きを一気に早める。



肉のぶつかる音が更に激しくなり、二人の息も荒くなる。



見られるだとか、そんな事はもうどうでもよかった。



ただ今は、彼の熱い証が欲しかった。

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