第19話

心地いい圧迫感を感じながら、貴也さんの腰が更に進む。



「あぁ……やばっ……んっ……中、気持よすぎっ……」



ゆっくり確実に進んでくる感覚。



焦れながらも、貴也さんに手を伸ばしてしがみつく。



「そんなに欲しい? はぁ……腰が、っ、揺れてるっ……」



「欲しっ……いじわるっ、しな……で……」



「あー……くそっ……可愛すぎっ!」



「ん、あああぁあぁっ!」



残りを一気に刺し貫かれ、激しく体を痙攣させて達した。



「ぅあっ……っ、締めすぎっ、くっ……」



「ぁ、あ……はっ……ぁっ……」



目の前がチカチカして、頭が溶けそうになる。



息をするのがやっとで、視点すら定まらない。



「凄くいい顔してるね……ほんとに、可愛いよ……」



うっとりしたような顔で微笑んだ貴也さんが、私の頬を優しく撫でる。



律動を始めた貴也さんの体にしがみつき、合わせるように腰を揺らす。



皮膚がぶつかる音が響く部屋で、快楽を貪る私の頭は何も考えられなくて、ただ喘ぐしか出来ない。



「俺の奥さんは、声も、顔も、どこもかしこも、最高にエッチで可愛いよ……んっ……はぁ……どんどん君に溺れてしまう……」



甘く優しく囁かれ、耳からも快感が体に入ってくる。



何度も腰を打ち付けられ、なすがままに揺さぶられて、絶頂を迎え続ける。



奥にある気持ちいい場所を、集中して突き上げられ、悲鳴のような声が出る。



言葉に出来ない気持ちよさに、おかしくなる。



「終わるのはっ、勿体ないけどっ、ふっ……はぁ……ぁ、そろそろっ、くっ、んっ……」



「はっ、あっ、あぁっ、ひっ、ぅ……」



「もう、聞こえてない、かっ……っ……」



頭は痺れ、朦朧として、ギリギリ意識を保つけれど、頼りなく喘ぐ以外に何も出来ない。



中で貴也さんの昂りが波打つ感覚だけを最後に、私の意識はプツンと途切れた。



次に目を覚ました時、貴也さんの綺麗な顔が目の前にあり、静かな寝息を立てていて、長い睫毛が揺れていた。



目にかかる前髪が、カーテンの隙間から入る光に透けて、茶色に光る。



「綺麗……」



ドキドキしながら、少し震えた指で微かに前髪に触れて呟く。



この人が本気で愛して、こうやって腕の中に大切に大事に抱いて、甘くて優しい愛を囁くのは、どんな人なんだろう。



考えても苦しいだけなのに、辛くなるのが分かっているのに、どうしても考えてしまう。



我ながら、馬鹿だと思う。



起こさないようにゆっくりと体を起こす。



昨夜、ちゃんと見れなかった部屋を、キョロキョロしながら見回す。



改めて見る部屋は、馬鹿みたいに広くて、普通の一軒家のリビング二つ分は簡単に入るだろう。



ドレスを着る訳にも行かず、たまたま目に入った貴也さんのシャツを手に取る。



好きだと自覚したら、ちょっとだけ欲がでるもので。



「ちょっとくらい……いいかな……起きる前に、脱げばバレないし……」



自分でも大胆な行動だとは思うけど、カレシャツというやつは、何も男性だけの楽しみではなかったりする。



半分変態になったみたいな気分で、貴也さんの大きな体を包んでいたシャツに、ゆっくり袖を通す。



妙に緊張する。



袖を全部通し終わり、近くの鏡を見て、恥ずかしくなり、ちょっとだけニヤけてしまう。



さすがに温もりはないけれど、微かに貴也さんの香りがする。



ベッドの側にまた戻り、さすがに下着を明るい場所で見られるのは、いまだに慣れないので下着を探す。



知らない間に脱がされていたけれど、さすがにベッドの近くだろうと探していると、まだボタンがとまっていないシャツのまま、腕を掴まれる感覚に、肝が冷えた。



「朝から凄く魅力的な格好だね……」



「たかっ……わっ!」



引き寄せられ、ベッドへ引きずり込まれる。



貴也さんの上にうつ伏せで寝転ぶ体勢で、貴也さんの顔が物凄く近くにある。



「これは、俺の可愛らしい奥さんから、誘われてるととってもいいやつかな?」



楽しそうに目を細めて、鼻の頭に軽くキスをされた。



その間もお尻を揉む手は休まない。



貴也さんはお尻が好きなんだろうか。よく揉まれる気がする。



また甘い言葉。彼の言う言葉の、どこからどこまでを本気にすればいいのか分からない。



冗談半分で聞かなきゃやってられない。



天然のタラシとは、こういう人の事をいうのだろうか。



「あ、の……離してっ……」



「ん? どうして? こんなそそる格好して誘惑されてるのに、それに乗らないのは、夫としてどうかと思うんだけど?」



「んっ……ぁ……」



囁かれながら、耳や首にキスをされる。くすぐったさと、ゾクゾクする感覚に、身をよじる。



「起きた瞬間から、こんないい格好が見れるとは思わなかったよ……なかなかテンション上がるね……」



「あっ……ンっ……」



シャツのはだけた部分から手が入ってきて、胸が包まれる。



揉みしだかれ、手の平で突起が転がされる。



「まるで君に押し倒されてるみたいで、いい眺めだ……」



貴也さんの上から離れようとして、顔を挟むように手をついている私の体を、抵抗出来ないのをいい事に、楽しそうに好き勝手している。



―――ピリリリリリ……。



貴也さんのスマホが鳴る。



私の胸の突起を咥えながら、目だけでスマホを一瞥し、また私を弄ぶのに集中し始める。



「たかっ、ぁっ、電話っ……」



「いいよ、はぁ……別に……ん……」



わざと音を立ててしゃぶりつく姿が、どうもいやらしくて、こちらを見つめる目から目が離せない。



それでも、スマホは鳴り続いている。



「も、しっ、大事……なっ……あんっ……」



「じゃぁ……はぁ……迪香が俺の耳にスマホ当てて。俺は迪香を可愛がるので、んっ……忙しいからさ……」



いつまでもやめる様子はない為、仕方なく震える手をスマホに伸ばす。

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