第3話 顔がイケメンならJKは寄ってくる

 朝からやけに学校がザワついている。

 何やら転入生が入ってくると皆の話から聞き取れる。

 俺は前の席の嘉数かかずに一番重要な事を聞いてみる。


「ちなみに男?女?」

「残念ながら男」

「一気に興味が失せたわ」


 まぁ俺もちょっと残念な気持ちが出てくるのはきっと男の子だからなんだろう。

 代わりに女子がキラメキだってなんか集団であつまってキャッキャしてる。


「えー、イケメンだったらどうしよ~?ちょっとお手洗い行かない?」

「なに気合い入れようとしてんのよあと2分でHRはじまるよ?」

人事じんじを尽くして天命を待つっていうじゃない?」

人事尽じんじつくしすぎて天命が過ぎ去るんだよなぁ……」


 ……色々と期待はしているみたいだ。


 とりあえず俺的には面白い奴だったらうれしいと思う今日この頃だ。

 っと、チャイムが鳴り教室の周りに授業開始と書かれた青い帯のホログラムが張り巡らされると皆が席に着く。


 担任の吉水よしみず先生が颯爽さっそうと入ってきて口を開く。


「みんな、おはよう。HRに入る前にすでに耳に入っていると思うが転校生を紹介する。白城しらぐすく入って」


 そう言って扉が開かれると女子の黄色い声が一瞬湧き出した。

 入ってきた男子は一言で言えばイケメン。中性的な顔立ちに銀の髪色をしており、ツーブロックでトップの長い髪でパーマ的なスタイリングされた髪型をしている。肌は女子かって位白く肌にハリがある。

 特に顔に不要な毛が見当たらない事から察するにこの沖縄じゃめったに見られない体毛が少ない部類に属する人間であることだ。


 それは女子人気No.1をその時点で獲得したも同然で女子の目がものすごくキラキラしており、男子の目が殺意と嫉妬の業火をメラメラと燃やしていたのは言うまでもない。


「初めまして、白城長慶しらぐすくちょうけいといいます。特別支援学校とくべつしえんがっこうから転入してきました。まだちょっと経験が不足しててご迷惑をおかけすると思いますがよろしくお願いします」


 ……特別支援学校???最初聞き慣れないその言葉がなにを示すのか分からなかった。だが前に居る嘉数が驚いた様な表情をしたから俺はそっと嘉数に特別支援学校について聞いてみた。


「つまりは障がいをもった奴が行く学校出身って事。いやそもそも特別支援学校から転入っていうのが頭追いつかねぇって……」


 それはつまり、『障がいが取り除かれた可能性がある』ということだ。

 現代の医学も進歩してそういった所まで直せるようになったのか。すごいな。

 吉水先生は彼の自己紹介の後に言葉を繋ぐ。


「彼が言ったとおり特別支援学校出身ではあるが、その十字架は外された。君たちとなにも変わらない同級生である事を忘れずに仲良くしてやってくれ」


 俺はつい好奇心から聞いてしまった。


「先生、彼白城くんはなんの障がいを煩っていたんですか?」


 はぁ……とため息をつく。


「月見里おまえ、初対面の女性にバストのサイズを聞く愚か者か?」


 もしかして俺なんかやっ……ちゃってますねはい、すいません。


「えっ、いやその……それはないです」


「つまりはそういうことだ、これは私が語ることではなく君たちが彼と交友を深めた時、初めて聞ける情報であるということだ。だからもモテないのだお前は」


 そこでクラスの一室にどっと笑い声が溢れる。


 あぁ、確かにデリカシーに欠けた発言だったことは反省するが……

 最後の一言は余計すぎないか?チクチク言葉だぞ。


「そこら辺の気を使える男にならんと。なぁ清水しみず

「なんでそこで私に振るんですかっ!」


 またもクラスから笑いがこぼれる。


 あんたも吉水よしみず先生、大概たいがいデリカシーないぞ。だから婚期が遠のくのだ


「おっと月見里炎司つきみさとえんじくん。いまよからぬことを考えてなかったかな?」


 何この人!?エスパーかよ……怖っ


「い、いえ特になにも……」

「それならよろしい。……白城、こんな私が持つクラスはこんな感じだ。君もきっと仲良くできると思うぞ」

「はい、何卒なにとぞ宜しくお願いします」

「よし、では席は……そうだな月見里、お前1番仲良くなりたそうだったな。では嘉数かかず、お前は窓側の奥の席に行かせてやるからその席を白城しらぐすくに譲れ」

「はい!よろこんでぇ!!!」


 嘉数が大喜びで移動の準備を始める。窓際の最奥とかめっちゃうらやましい


「と言う事で転校生の自己紹介は以上。続いてHRを始めるぞ」



 -


 俺は教室を離れ食堂のテーブルでフライドチキンとじゅーしおにぎりを頬張りつつ昼休みが終わるのを待つことにした。


 クラスの女子がそこに集結するだろうというのは分かっていたがまさか他クラスまで入ってくるとは思わなかった。あまりにも人が集まってしまった為、退避せざるをえなかった。


 白城しらぐすく君への挨拶はまた落ち着いた頃にして、しばらくはこの食堂が俺の居場所になりそうだ。


「あっ……つ、月見里くん」

「おっ佐藤さとうさん、今日は食堂なんだね」


 同学年の佐藤さとうさんを見つける。

 佐藤さとうって名字は沖縄じゃ珍しいからつい話しかけてしまったら結構料理できるし話が合う。


「ちょうど良いや、話し相手が欲しかったんだ。こっち来て一緒に食べようぜ」

「えっえっ。い、いいの?」

「おっと、もしかして他に友達が居た?」

「うぅん、そうじゃなくて私でも良いのかなって」

「あぁ気にすんなって、俺も1人だし」

「それじゃあお邪魔して」


 そう言って佐藤さとうさんは俺の隣に腰掛ける。同時に椅子が鳴る音が耳に入る。


「今日は弁当作らなかったんだ」


 佐藤さとうさんはいつも綺麗な弁当を作ってくるイメージがあるから食堂にいること自体が不思議だった。


「うん、昨日ご飯の準備忘れてて……」

「あー、あるある。俺も夕食カレーなのに炊飯器炊き忘れてな。危うくルーだけ飲むカレーになっちまうところだったわ」

「えっ、飲む?カレーだから食べるじゃなくて?」

「ご飯のないカレーなんて飲み物だろ?」

「……あはは、たしかに」

「話変わるんだけどどう生徒会?どんな感じ?」

「最近は新歓の準備で結構準備だったり調整だったりで忙しいかな」


 先生の手伝いで生徒会室に行ったとき初めて佐藤さんと会って、まさかの入学数日で生徒会スカウトで、まだ仮でありながらも忙しくまわっている姿を何度も見かけていたから多少は興味は持つもんだ。


「最近は新歓の準備で結構準備だったり調整だったりで忙しいかな」


 確かクラス対抗の球技大会が近々あるって話は聞いていた。


「1年なのに大変だな」

「確かに大変だけどなんか忙しい方が好きだったりするし、もし良ければ月見里くんも居一緒に生徒会やらない?慢性的な人手不足で結構困ってるんだ」


 佐藤さんにそう言われるとちょっと入りたくなるが……あんま長時間気を遣ったところにいたくねぇんだよなぁ。


「いや、俺は妹が早く帰ってこいってうるさいからいいかな」

「そっかぁ。残念」


 佐藤さんの良いところは色々と提案してくれるものの、粘らずさっくりと諦めてくれるところだ。優花とは大違いだ。


「時に、月見里くん。お米、好きかな?」

「まぁ、日本人の主食だからなぁ。それなりに好きではある」

「実はね、母方の実家が新潟でさお米が大量に届いた訳なんですよ」

「ほぉ」

「でも流石に私でもあの量は食べられないから10kg程もらわない?」

「ふむ」


 10kgかぁ~、まぁ確かに食えなくは無いが運ぶのに一苦労しそうだが食費が浮くのは嬉しいもんだ。


「いいぜ、流石に手持ちじゃキツいからうちの親が帰ってきた日になるけど良いか?」

「あれ?月見里君の両親ってその日帰りじゃないの?」

「そうなんだよな、既に義務教育は終わったお前の自立する力を養うためとか言って色んな海外に行ってるわ」

「そうなんだ……だ、だったらさ、今度うちの親と一緒に持ってくるよ!」

「ちょっと悪くないかそれ?もらう立場なのに持ってきてもらうってのも」

「いいよいいよ、全然気にしなくて。食べなきゃ鮮度が落ちちゃうし」

「そっか、なら助かるわ。んじゃ、住所送るわ」


 コメカミを2回タップして現れるUIウィンドウそこから自分の住所を最も近いデバイスへ共有。

 承認待ちというウィンドウが出てきて佐藤さんも同じような操作をして承認待ちのウィンドウが承認済みとなりデータ転送が完了した。


「共有ありがとね。時間帯的には夕方あたりに持ってくるね」

「そうしてくれると助かるわ」

「あっ!!話してると結構時間経っちゃったね料理が冷めたちゃうまえに食べないと」

「おっとそうだな」


 少し冷えた骨なしのフライドチキンとじゅーしーにかぶりつく

 やっぱの組み合わせが最高なんだわ


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