第25話
唇を優しく啄まれる。
「お前、俺が見つめたらあんなエロい顔すんのな……俺に見られるの、好きなの?」
違うと否定したいのに、認めざるを得ないくらいには、海吏の視線に弱いみたいだ。
「わ、分からない、けど……何か、体が勝手に……」
「へぇ……それ、すげぇいいじゃん。けど、他の奴に見せるのは癪だな」
複雑そうな顔で、私の唇を舐め上げた。
エレベーターが止まる。
「あー……とにかく話は落ち着いてからだな」
手を取られ、エレベーターを降りる。
少し力が入らなくなった足を必死に動かして歩く。
自宅へ帰る為に一旦別れ、準備をして待ち合わせした場所へ。
自然と指を絡ませて手を繋がれる。
少し恥ずかしさを覚えながら、少し前を歩く海吏の顔を盗み見る。
「お前は目を離すとすぐ隙だらけになるから、ちゃんと捕まえとかねぇとカッ攫われたら困るからな」
目だけでチラリとこちらを見て、ニヤリと片方の口角を上げた。
ほんと、どこまでも私の気持ちを鷲掴むツボを心得てる男だ。
駆け引き上手なのか、ただ私が翻弄されてるだけなのかはとりあえず置いておこう。
新幹線に乗り込み、窓側に促されて二人並んで座る。
車内は疎らにいる割に、周りにはほとんど人がいないくらい少ない。
「人少ないね」
「だな。よかったじゃん、快適で」
笑ってそう言ったけれど、何故か私は海吏のその笑顔に裏があるような気がしてならなかった。
止まる駅までまだある為、どう暇を潰そうかと考えながら、持参したパソコンを取り出す。
「仕事熱心だな」
「別にそうでもないけど、じっとしてても暇だ……しって……ちょっと」
「んー?」
「何してんのよ」
「触ってる」
ストッキング越しに太ももに手が置かれ、さわさわと動く。
いくら何でも、こんないつ誰が通るか分からない場所で遊ばれるのはごめんだ。
「いてっ!」
「場所考えてよ。私そんな見せるような趣味は……ちょっ……」
叩いて手が離れたと思ったら、次は首筋に唇が触れる。
「海吏っ、やだってっ……」
「あんま声だして動きまくってたら、怪しまれるぞ? 誰もいない訳じゃないんだからさ」
だったらやめて欲しい。
こんな状態で動かないなんて、誰が出来るんだろうか。
再び脚に戻ってきた手が、いやらしく脚を撫でる。
耳にキス、耳朶を甘噛みして、首筋から鎖骨に唇が降りては上がるを繰り返す。
熱い吐息とちゅっという音が、やけに大きく響くのが、妙な気持ちにさせる。
手は、相変わらず脚を撫でてはくすぐった。
「ほんと、にっ……ゃ……んっ……」
「声、エロくなってきた……」
耳元て囁かないで欲しい。ゾワゾワして、お腹の奥がキュッとなって、変な感じだ。
「あれ? まさか、触ってないのに、濡れてる?」
「そんな、事っ……ぁっ……」
少し開いた脚の間から手が入り、下着越しに指がソコを撫でた。
声が極力漏れないように、両手で口を塞ぐ。
手が離れ、ほっとしたのも束の間、海吏が上着を脱いで私の膝に掛けて、お腹辺りから下が隠れた。
寒いわけじゃないのにと不思議に思って、海吏を見ると物凄い満面の笑みを浮かべていて、嫌な予感しかしなかった。
そして、その予感はすぐに当たる事になる。
「ちょっ、やだっ……」
「うわ……ぐちょぐちょじゃん……」
「指っ、だめっ……」
いきなりスカートを捲り、下着の中に手が突っ込まれ、指が直接ソコに触れた。
響いているわけじゃないのに、音がやけに大きく聞こえ、羞恥に喘ぐ。
体を捩りながら逃げようとするけど、ほとんど身動きが取れない。
窓際に座らせたのは、この為だったのか。
どこまで策士なんだ。そんな事まで予測出来るわけもなく、私はまんまと嵌められたのだ。
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