第15話

ここ数週間、私は自分の部屋で目覚める事があまりなかった。



「食わないのか?」



「……食べる、けどさ……」



目の前で、寝癖が付いた頭を気にする事がない男が、私が作った味噌汁を啜っている。



私が何故、ここ数日他人の家で目覚め、味噌汁を作っているのか。



大人になれば、男の部屋で朝を迎える事なんて、ある人にはよくあるものだと思う。



多分。



味噌汁を啜り、白米を口に入れた。



ふと前を見ると、頬杖をついて微笑んだ海吏が私を見つめている。



「な、何?」



「前から思ってたんだけどさ、瑞葵って食べてる時もエロいよな。まぁ、俺のシャツ一枚っていう、今のその格好も助けてるんだろうな。彼シャツっていうんだっけ?」



また突然何を言い出すんだろう。しかも、彼じゃない。



この男の思考回路が理解できない。というか、そんな事ばかり考えてるのだろうか。



「あんたにかかれば、何しててもエロく見えるんじゃないの? ていうか、こういう格好は今までにも散々他の子で見てきたんじゃないの?」



「確かにないわけじゃないけど、世間が言うほどいいって思わなかったんだよな……お前だからか?」



「そんな純粋な目して、変な質問しないでくれる」



むせそうになり、お茶を喉に流し込む。



見つめられ、変な事を言われては、食べたくても食べれなくなる。



「あれ? もう食わないの?」



「あ、あんたが変な事言うからっ……食べられないじゃないっ……」



「そりゃ困ったな。じゃ……」



立ち上がり、こちらに来る海吏に嫌な予感しかしない私は、立ち上がり後退りする。



「な、何っ……ちょっ……」



逃げる私を簡単に捕まえる。



腰に手を回して引き寄せ、両手で私の体を逃げられないように固定する。



「腹空かしたら、食いたくなるよな?」



「何言ってっ……ちょ……ていうか、何でもうそんなっ……」



「瑞葵がエロいから?」



体がくっついているからか、海吏の硬くなったモノが、当たって擦り付けられる。



反応するような場面が今までのやりとりで、一体何処にあったのか。



男の、というより彼のスイッチはイマイチ分からない。



「責任取ってくれるだろ?」



「んっ……あぁっ……」



耳元で低い声が囁いて、押し付けられた昂りが擦れる。



甘い痺れが体を支配し、自然と海吏にしがみつく。



「いいねぇ……ん、はぁ……瑞葵……」



「耳、元でっ……名前っ……」



耳元に息が当たって身動ぐと、耳にそのまま舌が入って来る。



背中からゾクゾクとした感覚に、声が出る。



「耳……はっ、ぁ……よくなってきた?」



「やぁ……んっ、あっ……」



クチュクチュと耳の奥を、音と感触が刺激して立っていられなくなる。



支えられて、そのまま床に寝かされる。



後はもう、抵抗なんてする事すらなくて。



こんな、はっきりさせないままは駄目だって分かってるはずなのに、流されてしまう私は最低だ。



中を昂りにかき混ぜられ、奥を突かれる度にはしたない声を上げて、熱く甘いキスを受け入れる。



深く舌を絡めた後、高い確率で下唇を甘噛みして、上唇を舐め上げてまた甘いキス。



癖なのだろうか。



私はこのキスにいつも翻弄され、理性を奪われる。



「早く堕ちてこい……」



「あぁあっ……」



奥の一番深い部分を突き上げられ、私は意識を手放した。

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