第27話

体がダルい。



色々と痛む。



「体、辛かったらちゃんと言えよ」



朝少し心配そうに言われ、教室へ入る前にも言われた。



前にも増して甘くて、過保護だ。



そして、私はいつもより無表情。鞄を置いて、すぐさまトイレへ向かう。



素早く個室に入る。



便座に座る。そして、顔を両手で覆って足をバタバタしていた。



恥ずかし過ぎる。朝も逃げ場のない羞恥心をなるべく出さないように、出来るだけ平常心を保った。



個室でその仮面が剥がれる。



「まっすぐ……顔が見れない……」



視線をあまり合わさなかったから、変に思われただろうか。



手を繋がれてるだけで、熱くて、昨日の事を思い出してしまう。



「……うぅ〜っ、どうやって接したらいいか、分からない……」



今までどうやって話してたかとか、どんな感じだったかとか、色々考えてしまう。



とにかく落ち着いて対応しよう。



授業を受け、昼休み。



屋上でお弁当を食べてる、はずだった。



「ちょ、まっ、て……んんっ……」



「はぁ……昼までっ、んっ、待ったろ……っ」



お弁当を広げた瞬間、突然のキス。



舌が、溶けていくようで、熱い。



「ふっ……誰、かっ、きちゃ……ぅんんンっ、はぁっ、んっ……」



「見せてやれば、いいっ……」



そんな恐ろしい事を、簡単に言わないで欲しい。



太ももに指が這い、スカートへ侵入する。体がビクリと跳ねる。



触られるのは嬉しいけど、場所は選ぶべきだと思う。



「す、ストップっ! が、学校、ではっ……ダメっ……」



「あ? 何で?」



首に唇が吸い付き、舌がねっとり滑る。ゾクゾクする。



「ぁ……んっ……ゃっ……ダメっ、だって……ばっ……」



「何が駄目? はぁ……ん……お前が言ったんだろ。好きな奴前にして触んなってのは、拷問だって。しかもずっと欲しかった女手に入ったんだから、お前がそばにいたら、そりゃ触るっつのっ……」



凄い口説き文句。こんな誰が来るとも分からない場所でなんて、駄目なのに、流される。



「えっろい顔になってきた……んっ……」



「ぁっ……っ、触り方っ、やらしぃ……」



「まぁ、やらしい事しようとしてますんで」



ニヤリと笑って、唇が重なる。



啄むものから、激しいものへと変わるキス。



頭がボーっとして、何も考えられない。



お昼も食べずに、私は学校で何をやってるんだろう。



ふしだらで、不健全な行為。なのに、やめて欲しくないって思ってしまう。



「お前の可愛い声、聞かせたくねぇから、ちょっと声、我慢な?」



「ふっ、ンっ、む、りぃ……はぁっ、っ……声っ、出ちゃ……あぁっ……」



下着をいとも簡単に捲りあげ、胸を舌や指が刺激する。その度に、声が出るのを我慢するけれど、限界があって。



胸を弄っていた指が、下半身へと下りて、中をかき混ぜる。



声が我慢出来ず、必死に琉玖夜にしがみつく。



「エロい声、響いてやばっ……めっちゃ興奮するっ……なぁ、入れてい?」



艶っぽくて、けれど熱く強い視線に、それだけで体が痺れて、達してしまえそう。



キスで唇を塞がれながら、入ってくる質量に喉が痙攣する。



「中、めっちゃっ、熱っ……はぁ……絡みついてくるっ……」



「はぁっ、ひ、ぁっ、んっ、ふっ……りっ、くやっ……もっとキス、して……」



向かい合って座って、キスをされながら突き上げられる。頭がぐちゃぐちゃで、何も考えられなくて、ただぎこちなく腰を振る。



「ぁあ……っ、気持ちいい? はぁっ、腰動いてるっ……はっ……」



「ぃっ、んっ、き、もちいっ……あぁっ……」



学校なのに、誰かが来るかもしれないのに、こんな事、駄目なのに。そんな事はもう、私の頭からは消え去っていた。



果てた後、荒い息を整える間もなくまたキス。



「抱き足りねぇわ……」



「駄目っ! もうっ、駄目だからねっ! さ、さす、がにっ……体、壊れるっ……それに、学校っ、とか……落ち着かないっ、から……」



「分かったよ……んな嫌がんなよ……」



少し不満そうに口を尖らす。



健全な男にしては、凄く元気な彼の相手をするのがこんなに大変だとは。



私の身は持つのだろうか。



気を取り直して、何事もなかったかのようにお弁当を食べ始める琉玖夜。



彼は、私の作る料理を凄く気に入ってくれている。



嫌いなものはあまりないから、作る方は楽だけれど、好きなものもこれといって特定のものがないのも困りものだ。



しかも、気に入ったらそればかりを続けて食べるから、これにも困ってしまう。



「やっぱ卵焼きうま。最高だわ。一生食い続けられるわ」



「大袈裟ね。でも、気に入ってもらえてるならよかった」



正直、琉玖夜の事はいまだに分からない事ばかりで、本当に不思議な人。



食べ物に限らず、彼はあまり物に興味を示さない。



もちろん、人にも。



だからといって、冷たいわけではなくて。知り合いも友人も結構多い。



けれど、どこか冷めた目で見ているような気がする部分もあるような気がして。

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