第10話

〔奥島健人side〕



性欲処理の相手がマネージャーってのは、部活を始めてから、今まで当たり前みたいになっていた。



正直、女の子はみんな柔らかいし可愛いから好きだし、性に敏感な健全な男子にはラッキーでしかない。



童貞は捨てられるし、好きな時にヤれて後腐れなし。これで可愛い好みの子がいたらもっとよし。



非モテには最高なシステムだ。ちなみに俺は非モテじゃない。



しかし、何人もマネージャーが辞めていった。



そりゃそうだろ。どれだけセックスが好きな子でも、体育会系の、それも柔道部の男を何人も相手にするんだから、負担は半端じゃない。



マネージャーが複数いれば分担出来るだろうけど、なかなか複数いる時はそうない。



そして最近、奴隷制度というものが出来たと聞かされた。



主である、クラスメイトの林田誠の専属奴隷が、今は不在のマネージャーの代わりに処理をしてくれるらしい。



初めて見た時、体が痺れた。



好みど真ん中。



これはラッキーと言えるのだろうか。抱ける事に関してはラッキーだけど、他の奴ともと思うと、何か面白くない。



だから、誰より先に彼女に接触した。



処女じゃないのが残念だったけど、それでも抱いた彼女は凄く可愛くて、愛おしくて、離したくなくなった。



彼女が拒めば、部活以外ではなるべく手を出すなと言われたけれど、無理だ。



初めて抱いてから、その後ずっと初めての日を忘れられなかった。



可愛く啼く声、やらしく捩る体、綺麗で柔らかい唇も、何もかもが焼き付いて、何度も思い出しては一人でした。



彼女を見かけて話しかけた。目の前にしたら、我慢が出来なかった。抑える事が出来ず、また何度も抱いた。



好きだと囁いて、名前を呼んで呼ばれて、まるで恋人みたいなセックスをする。



でも、恋人じゃない。



まだ部室に残っているのを確認すると、部室へ入って後悔する。



林田のモノを咥えている彼女がいた。



愛おしそうに、美味しそうに、林田に奉仕する。林田もまた、彼女に優しい目を向ける。



浮かれていた。俺だけが特別じゃないのに。



二人が主役で、主と専属奴隷なのに。俺はただのモブなのに。



それでも、手に入れたい。彼女が欲しい。



二人の姿を見て、黒い感情がフツフツと熱みたいに沸き上がる。



部室の扉を閉めて、鍵も閉める。



驚く二人にゆっくり近づく。



絶対、渡さない。手に入れる、必ず。

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