第5話

ベンチに四つん這いになって、お尻を林田君に向ける形になる。



凄く、恥ずかしい。でも、嫌って言えば、彼はすぐにやめてしまうだろう。



「は、ずかしっ……」



「だから、もう濡れてるのか?」



こういうのをサラッと言ってしまうところは、意地悪だと思う。



羞恥に濡れる。それは、あなた相手だから余計に。



「冷たっ……」



「しっかり慣らしておかないと、辛いからな」



後ろを慣れさせるには、ローションを使うらしい。



「正直、お前の場合は、ローションいらないくらいぐちゃぐちゃになるけどな」



ほら、この顔。挑発するような、煽るような、悪戯してる子供みたいな顔。



可愛いのに、どこかゾクリとする。



「ゆっくりするから、痛かったりやめて欲しかったらすぐ言え」



「……んっ、ぅ……」



後ろに異物が入る違和感。これは、指だ。



じわじわと入ってくる指が、中でゆっくり動く。



「んンっ……くっ……ふっ……」



「痛くないか?」



「なっ、か……変っ……なかん、じっ」



違和感と圧迫感。苦しい。



凄く丁寧に弄られ、痛みはないけれど、やっぱり違和感が凄い。



「柔らかくなってきた……ほら、指もう一本増やすぞ……」



「ぅんんンっ……はぁ……っ……」



太くて長い男らしい指が、中を優しく掻き混ぜている。



不思議と痛みが全くない。



排泄だけに使う場所が、初めて入れられた好きな人の指に、性感帯なんてないはずなのに、快感に疼いてしまう。



「もう三本簡単に入った。これで、よほどのデカさじゃない限り、大抵の男のは入るはずだ」



不思議と気持ちよくて、腰をくねらせる。



指が抜かれ、彼が立ち上がるのが分かる。



終わりたく、ない。



「しないん、ですか?」



「え? いや……」



「入れて……下さいっ……欲しぃ……」



まるで犬のように、お尻を振っておねだりをする。



驚いている顔も、たまらない。



「ったく、そんなエロい誘い方、どこで覚えたんだ? 悪い子だな。どっちに欲しい?」



「あなたの好きな方に、下さいっ……」



興奮しているのが伝わる。冷静だった彼の息が荒くなって、少しだけ手つきも荒くなる。



「せっかく慣らしたから、後ろを経験してみようか」



「はい……」



彼の大きいモノがちゃんと入るのか、想像しただけで少し怖い。



「息吐いて、力抜け」



言われた通りに、ゆっくり深呼吸しながら、目を閉じる。



後ろに気配。彼のモノが当たる感触。



入ってくる予感と感覚。



彼のモノが宛てがわれた後に、ゆっくり侵入する。



「んんンっ……ふぅ……んっ……はぁ……」



「くっ、キツっ……」



後ろからくぐもった呻きが聞こえた。普通の男より男らしく低くて、お腹の奥にズシリと来て、彼の声はかなり興奮する。



「考え事がっ、出来るくらいっ、余裕……なのかっ……」



「やっ、ちがっ……んんぅっ……」



まだ最後まで入ってはいないだろうそれが、どんどん入ってくる。



お腹、苦しい。なのに、何かそれだけじゃないような、変な感じ。



「っ、はぁ……入った、ぞっ……ンん……大丈夫、か?」



「んっ……ぁあ、なん、か……変っ……」



動かずいてくれている彼を振り返る。



少し余裕のない、眉間に皺を寄せた顔にまた興奮する。



「ぅ、ごっ、いて……」



驚いた顔が、雄の顔に変わる。この瞬間の彼の顔が、たまらなく好き。



「ゆっくり、動かすぞ」



「は、ぁあぁっ……」



最初によくほぐしているのと、濡れているのもあって、痛みはない。



苦しいけど、これは多分、気持ちいいかもしれない。



「あぁっ、あっ、ぅんっ、ゃ、ふっ……」



「初めてでっ……くっ、んっ、えらく気持ちよさそうっ、だなっ……はぁ……」



「んっ、気持ち、いっ……か、もっ、んっ、あぁっ……」



少し動きが、早くなる。



どうしよう。凄く、気持ちがいい。



優しく撫でる指、柔らかく吸い付く唇、体中が彼でいっぱいになる。



快楽で、いっぱいになる。



「あっ、んっ、これっ、ダメっ……はっ……」



「いいっ、声に、なってるっ……なっ……」



後ろから獣みたいに突かれ、揺さぶられ、頭が真っ白になる。



抱かれれば抱かれるほど、ますます好きになるのに、好きだと言えない。



気持ちよくなればなるほど、好きだと言いそうになる。



好きと口から出たら、その行為が好きだとごまかす。



いつまで隠し通せるんだろう。

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