第25話

口に出すのが無理なので、紙袋ごと手渡すと「いい子」と言って頭を優しく撫でられる。



目が合わせられず、私は俯いていた。



「……何でこんなんお前が持ってんの? まさか、お前が自分で買うなんて事はしねぇだろうし……」



お姉さんがくれたのを簡単にだけ説明する。



「へぇー……せっかくだし、着てみ?」



意地が悪く、それでいて妙に色気のある、挑発するような表情で笑う奏夢。



私に拒否権など、あるはずがなかった。



奴隷の時の名残りとかではなく、ただ、私には拒否する理由が、恥ずかしい以外で見つからなかった。



恥ずかしいなんて理由だけで、許してくれるような人じゃない。



立ち上がって、部屋を移動する。



目の前で着替えろと言われないだけマシになった。



以前なら、絶対目の前で着替えさせられただろう。



着替え終えて、スースーする感覚にモジモジしてしまう。



ゆっくり奏夢の後ろに立つ。



「あの……き、着た、よ……」



振り返った奏夢の目が見開かれ、固まる。



私はずっと見つめられ、恥ずかしさといたたまれなさで顔を背けて俯いた。



静寂が数分包み、その間が凄く長く感じられ、私は足が震えて今にも座り込みそうになる。



チラリと奏夢を盗み見ると、先程まで驚きに見開かれていた目が、いつの間にか熱の篭った妖艶なものに変わっていて、ドキリとして足の力が一気に抜けてしまう。



座り込んだ私の傍に、奏夢が歩いてきているのが分かり、そちらを見上げる。



「お前、何もしてねぇのに、何だよそのエロい顔……」



恥ずかしすぎて涙が滲む。早く服を着させて欲しい。



「目、潤ませてさ……そんないやらしい格好で誘って……」



「さ、誘ってなんかっ……あぁっ……」



ペタリと座り込んだ私の下の部分に、奏夢の足の指が当たる。



「すっげぇな……濡れすぎだろ……これのどこが誘ってねぇって? 触ってもねぇのにぐちゃぐちゃじゃん」



「やぁっ……」



割れ目と同じように割れた下着の部分から、奏夢の足の指がグリグリとそこを擦りあげると、そこからどんどん愛液が溢れてくる。



その場に押し倒され、熱い息を吐いた奏夢が舌なめずりをした。



それだけで体がゾクリとして、また下半身を濡らしてしまう。



「んんっ、ふぁっ、はぁんっ……」



「やらしいお前なら、見てただけでこんななるんだから……はぁ……キスだけで、イケそうだな……ん? やってみるか?」



「そ……っな……ぅンんっ、ふぅんっ、ぁふぁっ、んん、ぁぅんっ、ンっ……」



こんなにも気持ちよくて、激しいキスまで出来るなんて、この人はどこまで私を快楽に溺れさせるんだろう。



頭が痺れて上手く考えられない。



体をどんどん熱くさせる、いやらしいキスに、本当にそれだけで私の体は絶頂してしまう。



体をビクビクとさせ、頭がチカチカする。



こんな事初めてで怖くなって、目から涙が零れる。



「はぁ……マジで……キスだけでイった? お前、すげぇな……」



凄いのはどっちなんだろう。こんな子宮に響くキス、私は知らなかったし、知りたくなかった。



「そんなとろっとろにトロけきった顔しちゃって……可愛すぎ……」



奏夢の誕生日だから、奏夢が楽しいならいいんだろうけど、でも私ばかりが気持ちよくなってちゃ、駄目だ。



朦朧とする意識を必死に覚まして、体を起こす。



少し驚いた顔をした奏夢の体を押し返し、尻もちをついた股の間に体を滑り込ませる。



「ククッ、今日はえらく積極的じゃん。そんな興奮してんの?」



「今日は……特別な日、だから……奏夢に、気持ちよくなって、欲しぃ……」



チャックを下ろして、もう立ち上がってきている奏夢のモノに取り出して手を添える。



口に含むと、また大きくなる。



「んっ、はぁ……ぁ……特別って、なんだっ、よ……ンっ……」



咥えながら、奏夢の方を目だけで見ると、自分の誕生日に興味がない人なのか、分かっていないような顔をしている。



「誕生日、だよね?」



「っ、あー……そうだっけか? あんま考えた事ねぇから、忘れてたわ。なるほどな、だから、料理と……」



話しながらする行為ではないから、どうしても話に気が行くと手が止まる。



「ほら、御奉仕出来てないけど? 気持ちよくしてくれんだろ?」



ニヤリと笑ってそう言った奏夢に、私は奉仕を再開する。



「だいぶっ、んっ、上手くなったっ、なっ……はぁ、くっ……気持ちいっ、よ……あぁ……」



だいぶ分かってきた奏夢の弱い部分を中心に、舌で攻め立てる。



熱っぽい吐息で、私を見下ろす雄の目。私を雌へと変える、いやらしくて魅力的で情熱的な視線。



視線だけで濡れてくる。



「さっきよりここ、すげぇ事になって来てんじゃん、エッロ……」



口に含んだモノがまた大きくなり、少しビクビクし始めた頃、頭を固定される。



「はぁっ、んっ……くっ、やばっ……も、出るっ……はっ、っ……あぁ、イクっ、出す、ぞっ……全部っ、飲んでっ……」



腰を動かして、私の口を犯す。



息と声が荒くなり、くぐもった声を洩らした瞬間、口の中に欲望が放たれる。



喉を鳴らして、それをしっかり飲み干す。



「しっかりゴックンできたな。いい子」



頭を優しく撫でられる。



横に抱き上げられ、ベッドまで連れていかれる。



「さぁ、次は中で気持ちよくしてもらおうかな。つか、マジでやらしい下着だな……何処で買って来たんだか……」



上の下着を軽くペラリと捲り、不思議そうに眺めてる。



そして、私の胸に目をやり、ニヤリと笑う。



「胸のとこも、舐めやすいように布が別れてんだな。お前の可愛い乳首が、俺に可愛がって欲しいって顔出してる」



「あぁぁっ……」



突起を舌で転がされ、舌全体で舐め上げ、吸われる。



両側を弄ばれ、いやらしく開発され、どんな快感でも感じてしまう私の体は、何度も達してしまう。



「めっちゃ感じてんじゃん……お前、イクの何回目だよ……可愛過ぎ……」



私ばかりが気持ちよくなっていたら、意味が無いのに、どうしても奏夢に触れられる全てが気持ちいい。



胸、お腹へとキスをして、濡れすぎているそこへと奏夢の舌が滑っていく。



「俺でもっと気持ちよくなって……」



「んっ、ぅ、ああぁぁあっ……」



いつも以上に大きな音を立てながら、私の足の間に顔を埋める奏夢の頭に手を置いて、悶えるように腰を揺らして喘ぐ。



「んんー……はぁ……ぅんん……お前のここ、最高に美味いよ……」



「ゃあぁっ、お、かしく、なるっ……」



「おかしくなって……俺に狂えばいいっ……」



もうとっくに狂ってる。



今ですらおかしくなりそうなのに、奏夢が入ってきて、体が揺さぶられる度に、頭が溶けそうになる。



その後何度か抱かれた後、料理を意外に喜んでくれて、嬉しそうに食べてくれたのが、私も嬉しくて、凄く幸せな時間だった。



私ばかりが幸せな気がして、ケーキを食べながら、泣いてしまう。



「こんなんで泣いてたら、お前俺の嫁になったら、毎日泣かなきゃじゃん。幸せ過ぎて」



そう言って笑う奏夢が、私の涙を唇で拭った。



「俺さ、ケーキでやりたい事あんだよな。後、エプロン着てキッチンで、お前を後ろから犯すのもヤらして。つか、ヤる」



楽しそうに言って、奏夢はケーキのクリームを指で掬い、私の唇に塗って舐めとった。



そのまま熱い舌が入ってくる。



「さぁ、最後までしっかり意識保ってろよ」



クリームまみれになった体を舐め尽くされ、ひとしきり楽しんだ後、休憩もなしにキッチンでエプロンをつけさせられ、一晩中犯され続けた私は、予想通り次の日の昼過ぎまで起きれなかったのは、言うまでもない。

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