第13話

連れてこられたのは、最初に連れて来られた場所。私が処女を捨てた場所だった。



乱暴にベッドへ倒される。



「ぃたっ……」



「泣けば終わりじゃねぇよ?」



「いっ、ああっ!」



首筋に噛みつかれ、痛みで顔が歪む。



「奴隷のくせに、一人前に主の命令に背くわ、泣くわ、ふざけんじゃねぇよ……お前、ナメてんの?」



不機嫌な顔で低く唸るように言われ、怖くなって首を横に振る。



「ちょっと優しくし過ぎたか。奴隷って立場、分からせてやるよ……」



ベルトをカチャカチャと外す音がする。まだ大きくなっていないソレを取り出し、ソファーに座る。



「しゃぶれよ」



「ぇ……」



「口でやれって言ってんだよ。手は使うな。口だけだ。早くしろ、痛くされてぇんならいいけど?」



目が本気だと言っていて、私はゆっくり近づいて跪く。



「手、出せ」



制服のリボンを抜かれ、両手首を縛り上げられる。



「口だけで、しっかりやれよ」



手を使わずにするのは初めてで、動きがぎこちなくなる。必死で舌と唇を動かしていく。



「おら、もっと奥まで咥えて、喉奥締めろ」



私の口には大きすぎるソレを、腰を動かして揺らす。自分の意志とは関係なく動かされ、ソレは容赦なく私の喉を犯す。



涙が止まらず、呻く事しか出来ない。少しして、頭上で舌打ちが聞こえ、口から大きなソレが抜かれた。



苦しさから解放され、喉へ一気に空気が入り、咳き込む。



「跨って座れ。自分で入れて、動いて、俺をイカせてみろ」



冷たい目で見下ろされ、休む事すら許されず、私はゆっくりと立ち上がって、主の命令通りに跨り、自らの中にゆっくり沈めていく。



何度も入ってきているソレの形にすっかり慣れている私の中は、喜ぶかのようにその感覚を快感に変えてしまう。



「ん、あぁっ、はっ、ぁ……」



「顔ぐっちゃぐちゃにして、嬉しそうに俺のを飲み込んで……っ、淫乱なメスの顔して……いやらしい女だな……」



パンっと大きな音を立てて、お尻を叩かれる。ゾクゾクとした感覚が背中を駆け巡ると、自然に中を締めてしまう。



「尻叩かれて気持ちよくなった? ククッ、じゃぁ、もっとっておねだりしてみ?」



「……もっ、と……いっぱいっ、たっ、叩いてっ、下さいっ……」



恥ずかしくて顔を隠すように下を向く。それを無理やり上げられる。



「目ぇ逸らしてんじゃねぇよ。頼む時は、しっかりこっち見ろ」



綺麗な顔が、熱い目が、私を射抜いて、捕らえて離さない。



「ほら、もう一回、叩いて下さいご主人様って言ってみな?」



「もっと……叩いて、下さいっ……ご主人、様っ……」



「ははっ、こりゃいいわ。淫乱なメスの奴隷とか、最高じゃん」



荒々しくキスをされ、苦しくて、酸素を取り込もうと必死になる。それすらも逃げるなと後頭部を押さえつけ、もっと深いキスになる。



唇が離れた時には、頭が機能する事をやめたかのように、朦朧として体から力が抜けて彼の肩口へもたれ掛かる。



頭を撫でられ、少し体がピクリと反応する。



優しい手つき。



何で、こんな優しく触るのか。やめて欲しい。



優しく、しないで。



期待、しちゃうから。



特別だって。期待してしまう。



優しい手から逃げるように、体を起こして早く終わらせようと腰を動かす。



「っ……積極的じゃん。いいねぇ……可愛い事、すんねっ……んっ……」



「あっ、あっ、あぁっ、んぁっ、は、んっ」



耳を舐め、吸われ、体にくすぐったさとゾクゾクとした感覚が入り交じり、体をくねらせる。



「でも……そんなんじゃっ、俺はイカせらんねぇよ? もっと腰、しっかり動かさねぇといつまで経っても終わらねぇけど?」



体の力が抜けそうになるのを必死に耐えて、ガクガクと震える足に力を入れて動く。



それでも、私の体力では限界が早く、すぐにバテてしまう。



「まぁ、今日はこれで勘弁してやるよ」



「あああぁっ!」



両手で腰を固定され、思い切り突き上げられ、あられもない声を出す。



喉がヒクヒクとなり、体全体で気持ちよくなってしまった事を知らせるように、痙攣する。



「派手にイったな。もどかしかった? 俺に、ココを……っ、こう、やって……んっ……はぁ……思いっきり、激しくっ……はっ……突かれたかった?」



ニヤリと笑い、動きはゆっくりなのに強く突き入れられて、体を仰け反らせ、大きく喘ぎながら何度も達する。



ただ喘ぐだけで、言葉にならない私を、自分が満足するまで揺さぶり続けて、また頭を撫でる。



やめて。



そんなに、優しく撫でないで。



離れられなくなるから。



奴隷じゃなくなれば、あなたは私に見向きもしないだろう。



だから、優しくしないでよ。酷くして。傷つけて。



私はあなたを、嫌いでいたい。



主と奴隷の関係なのに、何が〝好き〟だ。



これは恋でも愛でもない。好きじゃない。



構われるから、そう感じるだけだ。勘違いするな。



あっという間に果てた私は、彼の呻くような声を遠くに聞きながら、意識を手放した。

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