第12話

朝、呼び出しがあり、自分の主の元へ向かう。



群がるメスの群れの真ん中に、主がいる。



何度も見た光景だけど、いまだにあの中に入っていく勇気がどうしても持てなくて、どうしようか悩んでいた。



「あれ? 奏夢の奴隷ちゃんじゃん、どした?」



突然話しかけられ、そちらを見上げる。



知らない人。このクラスの人だろうか。



「呼ばれ、たんです、けど……」



「あー……あれは……確かに行き辛いよねぇ。普通に見てるだけでも迷惑だしなぁ、あれは」



苦笑しながらその人はそう言った。



話していると、影が差す。



「うちの淫乱な奴隷ちゃんは、もう他の男漁ってんの?」



聞き慣れた低い声が耳に届く。



「主の方から来させるなんて、悪い奴隷だな」



鳳月奏夢の顔が近づいて、鼻がくっつく程の距離で止まる。



隣にいた人のため息が聞こえる。それすら当たり前のようにお構い無しで、挑発する目が私を射抜く。



「ほら、ご主人様にキスは?」



こういうところはやっぱり〝主〟だ。



触れるだけのキスをすると、腰を捕らえられ、深くキスをされる。



「んぅっ、んっ、ゃっ、ぁうんっ……」



「エロい声、出てる……ククっ……」



視線が集まってるのが分かる。恥ずかしくて、でもキスがそれを上回るくらいに気持ちいい。



長めのキス。唇が音を立てて離れていく。



「お構い無しだな、お前」



「嫌なら見なきゃいいだけだ」



「まぁ、確かにな。でも、こんなエロい顔すんだね、お前の奴隷ちゃん。いいなぁー、俺も主やりたーい」



こちらを見ながら、男の顔をしたクラスの人から隠すように、私を腕に抱きすくめる。



「あんま見んな。減る」



「見るくらいいいじゃん。つか、見せつけてよく言うわ」



「あ、バレた? こいつのエロい顔可愛いから、つい見せびらかしたくてさ〜」



そんなやり取りを聴きながら、熱くなった体の熱を冷ますように、大きく息を吐いた。



ふとクラスの中が見える。先程まで主に群がっていた女子達がこちらを見ている。明らかな敵意。



予想はしていた。だって、私の主はモテる。物凄い勢いでモテるから、恨まれるのは分かりきっていた事。



それでも、私にはそれをどうする事も出来ない。だから、知らないフリをする。気づかないフリをする。



「あの……用は?」



「ん? ああ、そうそう。ちょっとこっち来な」



教室から離れた場所へと手を引かれる。人気のない場所で、一体私は何をされるのか。



楽しそうな顔で鼻歌を歌いながら、私のパンツを少しずらし始める。



「ぁ、のっ、何をっ……」



「ん〜? 今日は一日コレ入れて過ごして」



ピンク色の、よく見る玩具をペロリとひと舐めして、無邪気な顔で笑う。



一日ずっとローターを入れて過ごすなんて、未知の経験に不安が過ぎる。



「お前、入れるって言われただけで、ココ濡れてきてんじゃん。淫乱。かぁ〜わいぃ〜」



さっきのキスも助けてか、私のソコはもう愛液で濡れていた。



「これなら、慣らさなくてもすんなり入んな」



「ぁあ、ンっ……」



入ってくる感覚に身を捩る。



「これに慣れたら、次はバイブな」



「ゃあぁ……なん、か、変っ……気持ち悪ぃ」



小さいのに、硬い異物の違和感は物凄いもので、これを今日一日入れておくのかと思うと、変な気分だ。



「さぁ、今日一日、楽しんで」



「っ!? ん、ぁあぁあああっ」



突然入れられたローターが震え始める。それを指で、入口の気持ちいい部分に当てられて、擦られて声が出る。



凄い快感に、膝がガクガクして立っていられなくて、鳳月奏夢の肩にしがみつく。



「はしたない声上げて……誰が聞いてるか分かんねぇのに、なぁ? この階にいる奴ら全員に聞かれたんじゃね?」



耳元で低い声が囁き、羞恥心に顔が赤くなる。それでも快感は止まらなくて、口に手を当てて声を我慢する。自然と息が荒くなる。



「やっ……え? 嘘っ、やだっ!」



「こら、やだじゃないでしょ。大人しくしな」



二つ目のローターが挿入され、入口と奥のいい場所に当てられ、振動が始まった。同時に攻められた衝撃に、体がまた震えて鳳月奏夢に寄りかかる。



「くれぐれも自分で弄ったり、出したりしたら、お仕置だから覚えとけ」



ニヤリと笑い、触れるだけのキスと、頭をサラリと撫でられる。



こんな事されて、私は今日一日を無事に終えられるだろうか。



歩く事すらままならない。



フラフラしながら、廊下を歩く。授業中も、休み時間も、中にあるローターの刺激のせいで、頭が回らない。集中なんて出来るわけない。



昼休みになり、辛くて教室を出た私は、人気のない場所を探して、重い体を無理やり引きずりながら歩く。その時、一瞬振動が止まり、ほっとしてゆっくり息をする。



電池がなくなったのかと立ち止まって、お腹の下辺りを撫でる。



―――カチっ。



少し後ろで小さなスイッチ音が聞こえ、再び振動が私を襲う。



「ひ、あぁああぁぁっ!」



「クククっ、エッロい声めちゃくちゃ響いてんじゃん」



膝から崩れ落ちた私が顔だけ振り返ると、壁に寄りかかり、小さなスイッチを持って立っている鳳月奏夢がいた。相変わらず楽しそうな顔で笑っている。



足音が近づいてきて、私の横でしゃがんで、目を合わせるように首を傾げる。



「そんなに、気持ちぃか? ん? 体ガクガクさせて、腰揺らして、やらしい尻振って男誘うみたいにして……マジで淫乱。声我慢してる顔とか、やべぇくらい男誘ってんじゃん」



耳を吸われ、舌が入ってくる。ゾクゾクして、ゾワゾワして、体を震わせて何度も達してしまう。



「見てみ? ほら、お前がイってんの、飢えた男達がみんな食い入るように見てんぜ? お前、今日アイツらのオカズ決定だな」



怖くて見る事も出来ず、俯くと涙が流れ落ちた。



「っ……はぁ〜……ダル……」



呆れたようなため息の後に冷たく言われ、自分の胸の辺りの服を掴む。



ふわりと体が宙に浮き、お姫様抱っこされている事に気づく。その間もイク事が止められず、鳳月奏夢の腕の中で連続で達し続けた。

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