第8話

教室で抱かれた後、無駄にデカい家に連れてこられた。



その大きな家ではなく、その隣の小さめの建物に連れていかれる。そこは離れで、先輩の専用部屋になっていて、大きな声をあげても聞こえない防音設備の整った場所だという。



先輩の言う通り、彼の抱き方は物凄く優しかった。普通に出会っていたら、ほだされていたんだろうか。



ベッドへ優しく寝かされ、体中を舐め回される。



正直、この人との行為は、長い。ねちっこいと言うか、しつこい。



みんなにこうなら、凄くマニアックな人で、ある意味凄い忍耐力、体力がいる。お互いに。



いつ終わるかも分からない行為が、また始まる。



「はぁぁー……君は何でこんなに……全部が甘くて……可愛いのかなぁ……たまんなぃ……」



終始うっとりしながら私の体を貪る。



「あぁー、そうだ……ちょっと待っててね」



私から離れ、先輩はゴソゴソと何かを探している様で、ベッドから少し体を起こす。



「何をしてるんですか?」



「ん〜? お、あった、これこれ」



私に向かって「ジャジャァ〜ン」なんて無邪気に取り出したそれに、私は目を見開く。



知らない訳じゃない、ただ、本物を生で見たのが初めてで、全部が全部じゃないけど、なかなかに生々しい。



「これ全部君に使おうと思って。あ、ちゃんと新品だから安心して。これ、何か分かる?」



「ちゃんと見た事はないですけど、何となく、は、分かります……」



あまりそちらを見ないようにしながら答える。



ノーマルのえっちでも長いのに、こんなものを使い始めたら、どうなるんだろう。ちょっと不安になって、眉を下げる。



「大丈夫だよ。言ったでしょ? 俺はあいつらみたいに酷くはしないって……ちゃぁーんと優しく丁寧に愛してあげるから……信じて?」



そういう事を心配しているわけじゃないのに、と思いながら、降ってきた絡みつくようなキスを受け止める。



長い一日になりそうだ。



私の考えが甘かった。やっぱりこの人は、壊れてる。



「ゃあぁあっ、ひぅ……は、ぁあっ」



「玩具にそこまで感じるなんて……妬けちゃうなぁ……はぁぁー……でも、そんな君も凄く凄く可愛いよ……」



色んな種類の玩具を使って弄ばれては、先輩を受け入れ、また玩具で快楽を呼び戻される。これを続ける事二日。



まさか、日を跨ぐとは思わなかった。しかも、まだそれが続いているのだから、笑えない。



気持ちいいし、優しいのも嫌じゃないけど、これはさすがに疲れる。何度か意識も手放したけど、その間すら遊ばれる。



「まだまだ気持ちいいねぇ……いっぱい気持ちよくなってる姿も可愛いけど……やっぱり妬けちゃうなぁ……」



二つの胸の突起に取り付けてある玩具はそのままに、私の中で蠢く玩具だけを抜き取り、先輩はその玩具を見せつけるように、軽く舐めて見せる。



「ん、はぁ……ぁぁあぁ〜……君の味は、すっごく甘くて……美味しい……最高だよ……」



まるで、美味な食材でも口にしたかのように、幸せそうな微笑を浮かべる。



ほんとに、異常だ。怖いくらいに。



「玩具より、俺のがいいって……俺のが気持ちいいって、言って……」



甘えるように、懇願する。私は快楽を取り上げられて朦朧とする中、ぐったりしながら口をゆっくり開く。



「ねぇ……言って……。それとも……玩具の方が、いい……とか?」



言葉を紡ごうとしたら、悲しそうな、傷ついたような顔で、そう呟く。



「せん、ぱぃの……が、いぃっ……ぁ、っ、先輩っ、が、いい……」



微妙な快感を与えてくる、両胸にある玩具の緩やかな振動のもどかしさに、先輩の方を見る。



そこには、心底嬉しそうな顔で笑った先輩がいた。



無邪気な、無害そうな顔。詐欺だ。



「じゃぁ、二人でもっともっともーっと、気持ちよくなろう、ね?」



また先輩が私の中へ入ってくる。先輩の見た目からは想像出来ない大きさのモノが、ゆっくりと出入りする。



「はぁ、はぁ、ぁ……んっ、くっ、やばっ、君の中……ほん、と、気持ちぃ……ぁあぁ」



悦に入った表情で焦点の定まらない目で、小さく笑った。



「ぅあぁっ、あぁっ、あんっ、んっ」



「ほんとに、声まで可愛いなんて……っ、もっと、聞きたぃっ、聞かせ、てっ……ぁっ……」



散々聞いてきたはずなのに、まるで初めて聞いたみたいな事を言う。



自分も十分可愛く喘ぐのを、この人は知っているのだろうか。そのせいか、私の体はその声に反応するのか、濡れていくのが分かる。



こんな体をしてる事を、私はこの人としてから、初めて知った。



しつこいくらいに絶頂を味わっても、何度も何度も繰り返される。終わらない快楽に、私の体力が限界を超え、また意識を手放した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る