第22話

ドレスやアクセサリーなどもすでに二人分用意されていたようで、凄く緊張する。



「わぁ……清香ってやっぱり美人だから、凄く綺麗だね」



「あんたがそれ言うか。あんたも似合ってる。こりゃぁ、後輩君が心配するわけだわ」



ニカッと笑う清香が凄く綺麗で、友人ながら見惚れてしまう。



更衣室の扉がノックされ、洸輝がいた。



固まっている。



「洸輝?」



「……圧巻というか……美人二人が並ぶと、こう、圧倒されますね……」



そう言って、私を抱き寄せる。



「もちろん、渚那が一番だからね。はぁああぁぁー……綺麗だよ……ほんと……さいっこーだよ……可愛すぎる……」



うっとりした顔が近づいてくるのを、ギリギリのところで止める。



「ちょ、洸輝っ……ストップっ!」



「あー、これは完全に私いるの忘れてるな。ごちそーさま」



荒い呼吸をしながら、首筋に顔を埋めている洸輝を引き剥がす。



さすがに友人の前では恥ずかしい。



用意も出来たので会場へ向かうと、物凄い人がいる。



「はぁ〜……さすが金持ちは違うねぇ。スケールでか〜い」



煌びやからな世界。



私には、眩しすぎる。場違いな気がして、ふと洸輝を見る。



優しく微笑んで、指を絡めてくる。



「緊張してる? 大丈夫だよ、みんな同じ人間だし、何より、この会場にいる誰よりも、渚那が一番眩しいから」



「ふふ、何それ」



クサい台詞を躊躇なく言う洸輝に、緊張していた体の力が抜けていく気がした。



「よし、今日は目いっぱい食べて帰るよっ!」



「あはは、そうだね」



気合十分な清香と会場へ足を踏み入れた瞬間、声がかかる。



「遅せぇよ、洸輝。って、おーっ! 渚那ちゃん今日はまた一段と綺麗じゃん……て、その美人誰っ!?」



タキシードを着た洸弥さんが、目を見開いて清香を見る。



当の本人は言われ慣れている為、軽く会釈だけして顔を背ける。



「クールビューティーとか、ヤバいな。超タイプだわ。なぁ、洸輝、口説いてい?」



「出来るもんなら好きにしたら? まぁ、そんな簡単な人じゃないよ、多分この人」



女癖があまりよくないと聞いていたから、ちょっと心配ではあるけど、私より恋愛経験もそれ以外も豊富だから、私の出る幕はないかもしれない。



既に、清香は食べ物へと集中し、洸弥さんをスルーしている。



尊敬しちゃうくらいの軽やかさだ。



「さすが先輩だね。渚那もあのくらいスルーしてくれたら安心なのになぁ……」



「んっ……が、頑張るっ……」



首筋を後ろからペロリと舐められる。



「さぁ、とりあえず父さんの所へ行って、少しだけ挨拶回り付き合って、ね? 俺の可愛い未来のお嫁さん」



腰に手を回されて引き寄せられ、頬にキスが落ちた。



お義父さん達に挨拶をして、他の人に挨拶回りをする洸輝について回る。



大した事はしてないけど、緊張で少し疲れた頃、聞き覚えのある声が聞こえる。



「ごきげんよう、洸輝様っ! と……あら、あなたもいらっしゃったの?」



いつもより強めに巻いた髪に、全体的にフリルの付いた可愛らしいドレスを身につけた、如月鈴音がいた。



私を冷たく一瞥すると、頬を染めてすぐに洸輝に笑顔を向ける。




「今日の洸輝様は、いつも以上に素敵ですわ」



「それはどうも」



笑顔なのに、心がこもっていない。それでも如月鈴音は頬を赤くして目を潤ませている。



彼女は、どうも洸輝に冷たくされるのが好きなようだ。



「じゃ、俺達はまだ挨拶回りしないといけないから、これで」



「あら、残念ですわ……では、また後程」



ちらりとこちらを睨みつけ、洸輝に笑顔を向けて歩いていった。



「凄く嫌われてるね、私」



「いいよそれで。彼女に好かれる必要は一ミリたりともないから」



また冷たくなった。



嫌いなのだろうか。それとも、これが彼の普通なのか。



「でも、彼女は洸輝の事好きみたいだけど」



皮肉を言ったつもりでもなければ、責めたわけでもない。でも、どこか面白くなかったのは事実。



「俺は渚那以外興味ないから、どうでもいいかな。というか……今のは……まさか嫉妬? 渚那、嫉妬してるの?」



目を見開いてこちらを見たかと思えば、へらぁ〜と締りのない緩んだ顔で笑う。



「渚那が……ヤキモチ……ああぁぁあ……どうしよ……はぁはぁはぁ……可愛い可愛い可愛いっ……たまらない……」



人がたくさんいるのに、私を抱き寄せてお尻に両手を滑らせて、やわやわと揉み始める。



「み、っきっ……ダメっ……」



「あぁ、駄目だっ……我慢、できないっ……」



手を引かれ、会場から連れ出される。



振りほどこうにも、凄い力が入っていて、少し痛いくらいだ。



どこか部屋へ入るのかと思ったけれど、パーティー中の為か、人気はない。それにしても、さすがに廊下はハードルが高い。



「洸輝っ、するならっ、部屋でっ……」



もどかしそうにタイを緩め、荒い息をしながら噛み付くようなキスをされ、抱き上げられる。



抱き上げられて、激しくなるキスを繰り返されながら、近くの部屋へ器用に移動する。



荒々しく扉が閉まり、地に足がついた瞬間に、その扉を背に口内を犯され続ける。



ドレスが捲られ、足を撫でられて、下着がずらされる。



「はぁ……ねぇ、駄目って言いながら……なんでここ、こんなにグチャグチャなの?」



「……っき、が……」



話そうとするのに、キスをやめてくれなくて、息も絶え絶えに言葉を紡ぐ。



「俺が、ぅんン……んっ……何?」



「んっ、はぁっ……こんな、キス……する、からぁっ……」



意地の悪そうな笑顔を向け、満足そうな顔で私のソコへ指を這わせる。



いやらしい音が、舌を絡める音と混ざって耳までも犯していく。



「はぁはぁ〜……いっぱい濡れてるから、太ももまで垂れてきてるよ……ぁあぁぁ……今、綺麗にして、あげるからね……」



そう言った洸輝が跪いて、ドレスの中に潜り込む。



「んん〜……はぁ……渚那のここ、凄く……美味しそう……はぁはぁはぁ……んんっ……」



「ぁぁあぁっ……」



物凄い大きな音を立てながら、私の恥ずかしい程に濡れたそこを執拗に啜り、舐め、吸い尽くす。



体中をゾクリとした快感が走り抜け、頭がビリビリと痺れ、膝がガクガクと震えて立っていられない。



その間にも、洸輝はずっとそこを舌と唇で犯し続ける。



「んン〜……はぁ……渚那のここ、すっごく甘くて……美味しいよっ……は、ぁんんっ……」



「音っ、やあぁ……」



会場から離れた部屋だからか、人の気配がしないから余計に、洸輝が私を味わう音がハッキリと聞こえて、羞恥と興奮に体が震える。



できるだけ声を我慢するように、口を両手で塞ぐ。



「駄目だよ……可愛い声っ、んっ、我慢っ、しないでっ……俺に、聞かせて……はぁ……」



手を掴んで離され、キスをされる。



―――コンコンッ。



突然のノックに体をビクつかせる。



「洸輝様? いらっしゃいまして?」



扉の向こうに彼女がいる。



声が出ないように息を整えようとした私の耳に、カチャカチャと嫌な音が聞こえる。



ベルトを外す洸輝に、首を振って目でやめてと訴えるけれど、耳元で囁かれてハッとした。



「その欲情しているいい声、聞かせてあげようね……」



「ゃっ、だめっ……んっ、ぁあぁぁああっ!」



ちゅっと軽くキスをして、唇を噛んで声を我慢する私を見て楽しむかのように笑い、洸輝が思い切り最奥を突き上げる。



声を我慢するなんて、出来るわけがなかった。



絶頂し、喉が痙攣する。声にならない声を出して、体をビクつかせる私を洸輝は揺さぶり始めた。



「はっ、ぁっ、んっ……如月さんっ、悪い、けどっ……はぁ……今俺の可愛い未来のっ、奥さんを可愛がるの、にっ、んっ、ぁ、忙しいからっ、後にしてくれる? それともっ、このっ、はぁはぁっ……凄く可愛い声をっ……聞いていく?」



挑発するかのように、扉の向こうにいる如月鈴音にそう言った。わざと煽っているようで、そんな彼にゾクゾクとした感覚を覚える私も相当だ。



走り去る音がする。



「乱暴にして、ごめんね。こうでもしないと分かってくれないからさ。普通に突き放しても意味無いし。冷たくしたら喜ぶから、あの子」



ため息を吐いて、少し嫌そうな顔をした洸輝と目が合う。



「さぁ、続き、しようか」



「え、ゃ、あぁああぁっ!」



また動き始めた洸輝にしがみつき、揺さぶられて喘ぐ。



何度も肌を重ねても、受け入れても、飽きない。もっとと求めるいやらしい体。



どんなに求められても足りない。



今以上に私でいっぱいになればいい。



誰も、入る隙さえない程に。

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