第20話

そして、生い立ちの話になり、たいして気にする事なく話した私に、紫乃さんが立ち上がって私の座る所まで来て膝まづく。



「ずっと一人で頑張って来たのね。女の子が一人でなんて大変だったでしょ。寂しかったね」



頭を撫でられ、抱きしめられる。そのまま背中を撫でられた瞬間、涙が溢れて流れ落ちた。



洸輝以外に、こんな風にされた事がなく戸惑っていた。でも、いつの間にか凍りついていた心が溶かされていくような気がした。



お母さんがいたら、こんな感覚なのかなと思った。私はしばらく止まらない涙を流し続けた。



少しして、昼食をいただいて、家の中を洸輝と一緒に歩く。



「洸輝は、いい家族に愛情いっぱいに育てられたんだね。洸輝が愛情深い理由が分かった」



「渚那だけにしかその愛情は注がれないけどね」



しれっと言ってしまうところがまた憎い。



「でも、この先、洸輝が私より素敵な人を見つけてしまったら、私は小雪さんみたいに許せる自信は、ないな……小雪さんは凄いよ」



足を止めた洸輝は、私を抱き上げる。



「ちょっと、お仕置してい?」



「へ?」



「俺、ちょっと怒ったから」



ん? 何で? は?



「しつこいくらい言ったつもりなんだけど、俺はこの先どんな女が現れても、渚那以外はいらないって。まだ分からない?」



「だ、だって、だって……そんなの……分からないじゃなっ……んっ……」



「はぁっ……分かるよ。俺は渚那をずっと見てきた。渚那は知らないだろうけど、俺、渚那を好きになったの高校じゃないよ。俺が渚那を見つけたのは、中学に上がる前。だから、5、6年前くらいから渚那を想ってるけど?」



初耳。物凄い事実を聞いてしまい、固まる。



「初めて言うから、驚くのも無理ないけどね。俺の想いなめないでくれる? ちなみに分かってるだろうけど、俺の想いは年月に関係なく重いから」



また軽くキスをされ、意地悪く笑う洸輝に顔が熱くなっていく。



そんな前から洸輝が私を見ていた。当時は自分の事に必死で、そんな事夢にも思わなかった。



「なんてったって、渚那は俺の初恋だし、最初で最後の彼女だからね。他の女なんか、目に入らない」



甘くて一途な口説き文句。こんな人に、恋をしないわけがない。



大きな扉の中へ入り、ベットへゆっくり下ろされる。覆い被さる大きな体。ちゅっちゅっと音を鳴らしながら、何度もキスをする。



ただそれだけで、濡れてくるのが分かるくらい、私も興奮していた。



「ああぁー……ほんとに可愛いっ、可愛いよ、渚那っ……」



「洸輝……」



うっとりと酔いしれた顔で私の頬に指を滑らせる。洸輝の目が飢えた野獣のように鋭く光って、ネクタイを緩めて素早く引き抜く姿が、たまらなく妖艶さを醸し出す。



「はぁぁー……その俺を求める顔、凄くそそるね……もう我慢……できなぃよ……はぁ……」



ズボンの下で、洸輝の昂りが凄く大きくなっているのが分かる。ゴクリと喉を鳴らす。



洸輝の家で、みんないて、いつ誰が来るかも分からないのに、洸輝が欲しくてたまらない。



そんな淫らな考えを理解しているかのように、洸輝は舌なめずりをする。



「ねぇ、入れていいよねぇ……はぁはぁ、だって、渚那……凄くエロい顔してるし……すぐ入っちゃいそうだよ、ここ……はぁはぁはぁはぁ……」



「み、つっ……ぁぁっ……」



下着越しに敏感な部分を撫でられ、耳に舌が這う。そして、低く挑発するように囁かれる。



「はぁはぁ……犯して、いい?」



熱を込めて誘うように目が合う。恥ずかしさで目を逸らしそうになるのに、目が離せない。



「汚して、ぐちゃぐちゃにしたいっ……はぁはぁ、渚那ぁ……いっぱいいっぱいここを、犯して……可愛がってあげるね……はぁ……はぁ……」



洸輝の興奮が、私にも伝染する。汚して、犯して、ぐちゃぐちゃにして欲しいと、私のそこはもう、少し撫でられただけなのに、愛液でトロトロに溶けていた。



洸輝のモノを簡単に受け入れたそこを、洸輝が恍惚の表情で犯し始める。



「あぁっ、あっ、みつ、きっ、あんっ、んゃぁあっ……」



「渚那っ、渚那っ、愛してるっ、愛してるっ、渚那っ……はぁっ、っ……」



愛の言葉を囁き続ける洸輝に答えるように、洸輝の体にしがみつく。



―――コンコン。



はっとした私をよそに、洸輝は相変わらずそれを気にすることなく、激しく動き続ける。



「洸輝ー、お茶にしようって……げっ!?」



「み、つっ……だめっ、やっ、んっ……」



洸弥さんと目が合って、恥ずかしさに真っ赤になって顔を枕に埋める。



「ぁ? んだよっ、またっ、お前っ? 何? 見てわかん、ないっ? はぁ……ぁ……今、忙しいっ……はぁ……っ……つか、渚那の事、見んなっ……」



声を聞かせたくないから出すなと言い、私の唇を自分の唇で塞ぐ。そう思うなら、少しくらい止まってくれたらいいのに。



「っ、んっ……ふっ、はっ、っン……」



「クソっ、何で毎回こうタイミング悪いのかねぇ、鍵くらい閉めろよな、まったく。で? いつ、終わんの?」



目を背けながらも、小さく舌打ちをして洸弥さんは面倒そうに聞く。



「ぁあ……はぁ……っ、夜まではっ、やめるつもり、ないっ、から……はぁっ、っ……」



「うわぁ〜……バケモンかよ……渚那ちゃんも可哀想に……」



酔ったように少し笑いながら「渚那の中、マジでさいっこー……」と呟き、二人しかいないかのように、腰を早めてキスを繰り返す。



扉が閉まる音と同時に果て、まだまだ終わらない律動に、何度も何度も快感の波を全身で受け取り続けた。



長く愛された後、眠っていた私は、洸輝の低く優しい囁きとキスで起こされた。



外はすっかり暗くなっていた。

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