第11話
毎日毎日、授業以外の時間はずっと一緒で、放課後にはデートして。
離れる時は、永遠の別れかと言わんばかりに、別れを惜しんだ。
もう何度もしているキスも、離れ難いとでも言うように、どちらも離れようとしない。
ずっと一緒ならいいのに。
ある放課後。
「あ、あの……今日は、その。ちょっと、家の用事で……あの……」
放課後デートが出来ないと言いたいのか、モジモジしながら洸輝がモゴモゴ言っている。
残念ではあるけど、家の用事なら仕方ない。
洸輝が名残惜しそうにキスをする。激しくて、体が熱くなる。いやらしい声が漏れる、深くて絡みつくキス。
人がいなくて良かったとつくづく思う。
「あぁ……渚那ぁ……もっと、もっといっぱ
い、したいよ……はぁ……渚那の唾液も、唇も美味しぃよぉ……渚那渚那っ……」
「み、つき……行かなきゃ、でしょ……っん」
胸を押すけど、私も離れたくなくて、抱きしめられてる腕を本気で剥がせないでいた。
「はぁ……んンっ、離れたくないっ……渚那渚那渚那っ……」
それでも何とか納得させて洸輝を引き剥がした後、私は幼なじみの元へ向かう。
「おっそー。いつまでイチャコラやってんだかね、このバカップルは」
「ごめんね」
「別にいいけどさ。で? 何がそんなに引っかかってんの? お姉さんに言ってみ?」
まさか、そんな事を突然言われるとは思わなかった。
「伊達に恋愛しまくってないからね、私は」
確かに彼女は恋愛経験が豊富で、私なんかより好きだ嫌いだなどの話は分かっている。
昔から、私の悩みや考えを当てる事が多かった幼なじみ。もしかしたら、今回の事にも答えをくれるだろうか。
「なんちゅー事を考えるんだかね、あんたは」
呆気に取られた。
「だいたいね、今までだってあんたを好きになった男なんていくらでもいたでしょ。そいつらにアイツに感じたみたいな興味、持った?」
私は考えるまでもなく、頭を横に振った。
「しょーもない事考えない。アイツがあんたを気持ち悪いくらい好きで、あんたもそれに答えられるくらいに思ってんなら、もう、答えは決まってんじゃん」
何だろう。気持ちいいくらいに納得してしまう。
「たまたまだろうが何だろうが、あんたがアイツに興味持った時点で、あんたがアイツじゃなきゃダメだって証拠なんじゃないの?」
あまりにもしっくり来る言葉に、涙が出た。
「安心した? 昔からあんたはすぐ悪い方にばっか考えるから、ほんと心配で仕方ないわ。こんなやっかいな子、最後まで面倒見れるのなんて、アイツくらいだしね。常人じゃ無理」
異常な程に私を愛してくれる、たった一人の愛おしい人の顔が浮かぶ。
会いたくてたまらない。
明日、目一杯甘えようと決めて、学校を後にした。
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