第7話

特に大した物は置いていないワンルーム。



その玄関で、挙動不審にキョロキョロしている洸輝に、あがるよう促す。



遠慮気味に部屋へ入ってくる洸輝に向き直る。



「さて、まずは何からしようか」



「ぇ、あ、あの、えと……」



「選んでいいよ。プレゼントだし」



カバンを抱きしめながら、洸輝は部屋の匂いを嗅いでいるのか、深呼吸を繰り返している。



「ふふっ、部屋の匂い嗅いでも意味ないよ?」



「はぁ、はぁっ……先輩の、いい匂いが……します……」



満足そうにうっとりして笑う洸輝。部屋の匂いだけでこんなに幸せそうな顔をされるのも、私としては複雑だ。



「私の匂いは、嗅がなくてよかった?」



挑発するかのように笑うと、洸輝はカバンを落とし、頬を赤らめる。



呆然と立つ洸輝を見つめる。



「あ、もしかして、シャワーとか浴びた方がいい?」



そう言おうとした私の肩が掴まれる。



「っ、ダメだ。先輩の匂いが、他の匂いで消えたら……困りますっ……はぁはぁ……」



必死でそう言った洸輝に、私は笑って「じゃぁ、そのままどうぞ」と言った。



「あぁあァー……先輩先輩先輩っ、スーハースーハー……ァあぁ……はぁはぁはぁっ……」



物凄い勢いで匂いを嗅がれる。首筋に鼻がつくかつかないか、絶妙な距離まで来て、私の頬に洸輝の柔らかな髪が触れる。



「んっ……」



「っ!?」



くすぐったいような、じれったいような、微妙な気分で、少し声が出た。そんな小さな声ですら聞き逃さない洸輝は、一度私の顔を見て、また再開する。



首筋から鎖骨、胸元、脇腹と、どんどん嗅ぐ場所が下がって行き、洸輝が膝まづく姿勢で太ももあたりに鼻を近づける。



その間にも、私は何度も小さな声を漏らす。その度に、洸輝は満足そうに目を細める。



「はあぁぁー……なんなんだ、この幸せな時間は……俺まさか死ぬの? いや、もう死んでもいいくらい幸せだなぁ……」



ブツブツと独り言を言いながらも、嗅ぐ事をやめはしない。



止めないといつまでも嗅いでいそうな洸輝の前に座り込む。



名残惜しそうに眉を下げて私を見る。



「時間もったいないから、次、ね?」



「は、はい……」



「写真は……どんなのがいいの?」



この答えにも驚いたけど、それは予想してたやつじゃなかったからだ。てっきり下着姿とか、裸とか言うのかと思ってたから。



「俺が、やってもいい、ですか?」



荒い息で私の制服に手をかける。



シャツをスカートから引き出され、ボタンを少し外される。シャツの隙間から、少しだけ下着が見える。



座り方、目線、角度など、まるでモデルにでもなったかのように、しっかりとポーズを取らされる。



「ああぁぁーー……可愛い可愛い可愛いっ、先輩が、あぁー……ヤバいなぁ……もう、これは……どうしよう……」



スマホで写真を連射しながら、洸輝は一段と息を荒くし、興奮が冷めやらないようだ。



異様な光景が繰り広げられているワンルームに、私と洸輝が2人きり。



それだけで、体が熱くなる。



それを悟られないように、小さく深呼吸を繰り返す。



写真に満足した洸輝に、私は次々に願いを叶えていく。



洸輝の好きなように触られる体。ゴツゴツした逞しい男の手が、私の体を動き回る。



「あぁー……想像してたより、スベスベで吸い付く……っ、たまらないっ……はぁ……」



ズボン越しでも分かるほど、洸輝のモノが高ぶっている。それを見ただけなのに、下腹部が熱くなる。



ほんとは、ただ触られるだけじゃ足りないのに。



飽きられて、洸輝が去っていくのが怖くて仕方ないから、抱いてなんて言葉は言えない。



チグハグな葛藤で胸が張り裂けそうになる。



「はぁはぁはぁっ……先輩、先輩っ、ごめん、もう、俺……無理だっ……」



「っ!?」



洸輝が私の両肩に手を置き、強く押した。



視界が動き、私の目には天井が見える。



押し倒されてると気づいた時には、洸輝の唇が私のそれを塞いでいた。



「んっ! ンんっ、んっ、はぁ、ぅんンっ……」



「はぁっ……んんっ、せん、ぱっ、はっ……んんっ……ちゅっ……先輩のっ、唇っ、柔らかくっ、て……んっ、ジュル……はぁっ、凄くっ、甘い……はぁ、んっ……」



いやらしい音を鳴らしながら、興奮を言葉にして、私の唇を堪能する洸輝の力に、全く抵抗が上手くいかない。



こんな激しくて、気持ちいいキスは初めてで、私は溺れてしまう恐怖を感じた。



自分の雌が目を覚ましていく。



「やっ、み、つきっ、ンんっ……だ、め……はぁんっ……」



「先輩っ、好きっ、んんっ、好きっ、ほんと可愛い可愛い可愛いっ……」



とろけるほど甘く、噛み付くような激しくて熱くなるキスを受けながらも、洸輝の昂るソレがグリグリと当たるのが分かる。



「先輩っ、い、入れ、入れない、からっ……」



キスをやめることなく、必死でベルトを外す音がする。興奮で理性が飛んでいるようで、余裕など一切ない洸輝は、忙しなくスボンから今にもはち切れそうなソレを取り出した。



改めて見るソレは、やはり大きくて。喉が息を止めてしまうくらい、迫力あるものだった。



「み、つきっ、だ、めっ……やっ、だぁ……」



理性のなくなった洸輝に、私の言葉はもう届いてないようで、まるで獣にでもなったように、私の濡れたそこに滑らせるように擦り付ける。



「んあぁっ! ゃ、ああ……んっ、あぁっ、やだっ、これっ、だめっ! 洸輝っ、ぁあ、ンっ……」



「ああぁっ、渚那渚那渚那渚那っ、愛してるっ、渚那っ、愛してるっ愛してるよ、ん、渚那っ……はぁっ……これ、やばっ、気持ちいいっ、あぁっ……渚那っ……」



狂ったように名前を呼びながら腰を振る洸輝に揺さぶられ、下着越しに擦られているだけなのに、異常なほどに感じてしまう。



入ってないのに。下着越しに擦られるだけでこんな事になるなら、受け入れた時の事を考えただけで、恐ろしくなる。

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