第5話

〖洸輝side〗



ずっと好きで、愛してて、欲しくて、欲しくて、反対に汚してもみたい愛おしい人。



小さくて細くて、俺が力を入れたら折れてしまうんじゃないかと思うくらいに、か弱くて綺麗な人。



守りたいのに壊したい。綺麗だから汚したい。チグハグな思いが頭をグルグル回る。



毎日毎日自分の欲望を抑えながら、愛おしい人を見つめる。



気持ち悪いと言われても、あの人が受け入れてくれたから、誰に何を言われても構わない。



あの人だけが俺の全て。死ぬまでずっと、俺の世界はあの人だけだ。これは絶対に変わる事はない。



あの人が俺を捨てない限り。俺はずっとあの人のそばにいる。



触れられなくても構わない。あの人を傷つける事だけは、したくない。嫌われたくない。



嫌われて、捨てられたら、俺はもう生きていけないから。



愛おしい先輩を(主に口元を)見ながらお弁当を食べていた時も、そして今も。



なんでこんな幸せな事になったんだっけ?



今日はたくさん先輩に触れている。いつもは触れないから、ムズムズしても一生懸命我慢する。



なのに、今あの先輩が俺の腕の中にいる。



人を抱きしめるなんて初めての事で、力加減が分からないから、できるだけ優しく包むように抱きしめる。



痛くないかな……どうしたのかな……泣いてたな……



色んな疑問がグルグル回る。でも先輩が口にしないなら、何も聞かない。



胸にスリスリと頭を擦り付け、何も言わない先輩。可愛すぎて、愛おしいすぎて、どうにかなりそうで、心臓が壊れるんじゃないかと思うほど激しく波打つ。



少し背中を優しく撫でると、少しピクリとしただけで、止められなかったから、そのまま撫で続ける。



あぁ……いい匂い……先輩の匂い……



先輩が辛いかもしれない時に、俺はどうしてこうなんだろう。



不謹慎。でも先輩の事になると、どうしてもおかしくなる。



「はぁはぁ……先輩先輩先輩っ……」



言うまでもなく、俺のモノは完全に熱く昂り、ズボンを持ち上げていた。



「当たってる……」



「ごめんなさいごめんなさいっ……でも、先輩が俺の腕の中に……先輩の匂いっ……たまらないっ……はぁっはぁ……」



興奮と感動で、頭が回らない。



理性が飛びそうになるのを、唇をキツく噛みながら押しとどめる。



「辛い? 触りたい?」



「辛いっ……触りたいっ、けど、先輩が、嫌がる事、はしないっ……」



俺の腕の中から先輩がするリと抜け出し、先輩の温もりが離れていく。



「……っと……めて……」



先輩が何か言った気がした。けど、俺は自分の熱くなった部分の熱を逃がすのに必死で、そればかりに夢中になっていた。



「あぁ、先輩先輩先輩先輩っ! んっ、はぁはぁっ……」



「……いやらしい顔……洸輝、可愛い……」



先輩がそう言って笑う。



その顔が、妖艶で、たまらなく綺麗で、ゾクリと全身に鳥肌が立ち、ぶるりと体を震わせて、俺はお構い無しに欲望を解き放った。



先輩のあの熱の篭った目が忘れられず、俺は家に帰っても何度も何度も熱を逃がす。



「渚那、渚那渚那渚那っ……」



どこまでも可愛い先輩の名前を呼びながら。

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