【ジロー】世界は五分前にできた?ジローが語る世界の秘密【切り抜き】
「はい。今から『世界五分前仮説』を五分以上かけて説明する遊びをします」
”急にどうした”
”変なキノコでも食べたんか”
”ジローはいつもこんなもんやろ”
「みんなは『世界五分前仮説』って知ってますか? 名前の通り、世界は五分前にできたんじゃないかっていう考えで。いやいや、そんなわけないって思うでしょ? だって宇宙が誕生したのが一三八億年前で、地球が誕生したのが四六億年前で、生命が誕生したのが三五億年前、人類が誕生したのが五百万年前で、そしてダンジョンと繋がったのが七年前。そういう歴史があるんだから。いや、そんな壮大な話をしなくたって、部屋の隅には
”聞いたことある”
”面白い考えだよね”
”俺も中学生のころにその考え知って寝れなくなったわ”
「自分って存在もそう。これまでの記憶や経験を持った状態で、五分前に誕生したのかもしれない。めちゃくちゃな仮説だけど、この考えを否定することって絶対にできないんですよね。できるとしたら、この世界を作った神様くらいで。だからさ、たとえば今カップラーメンを食べてる人とかは、『カップラーメンにお湯を注いで出来上がるのを待ってる』状態でこの世に誕生したことになるんだよね。そう考えると面白いですよねー」
”今まさにカップラーメン食っててドキッとした”
”「カップラーメンが出来るのを待ってる」状態でこの世に生み出されるなんて、モブ中のモブやん”
”俺の人生が冴えないのは、そういうことなんかってなんか納得してしまったわ”
”俺は食べ始めたばかりだから。ケトルのお湯が沸くのを待ってる状態で誕生したから。お前らとは違うから”
”落ち着け。ただの仮説や”
「まあでも、
”なんで急にこんな話始めたんやろ”
”なんか精神的に不安定だったりして”
”そりゃいくらジローでも、深層階でソロキャンプなんてしてたら、まともじゃいられないって”
”深層階でソロキャンプしてる時点でまともじゃないからセーフ”
「ほら、なんだろう。ダンジョンって、ゲームのせいなのかな? なんかモンスターは無から湧いて出てきて、倒したらアイテムやお金をドロップして、なんて勘違いしてる人がいるみたいで。でも実際は全然違う。ダンジョンの中には、ちゃんとした生態系があるんです。モンスターだって、当然無から湧いてくるわけじゃない。地上の動物と一緒。普通に交尾して、普通に繁殖してる。食物連鎖も相互関係も成り立っている。同種同士で縄張り争いもするし、社会に近いコロニーを形成してるモンスターもいる」
”確かにダンジョン配信ばっか観てると、現実感が薄れてくるよな”
”特にジローの配信は派手だしね”
”俺はジローさんがこうやってまったり話してるのが好き”
”わかる”
「たとえばこの石ころ。俺なんかは学がないからあれだけど、見る人が見れば、この石ころ一つからだって、時の集積を認めることができる。ダンジョンには、ちゃんとした歴史があるんですよ。だから、よく言われている通り……というか、今じゃそれが常識なのかな。ダンジョンっていうのは、遠い昔からどこかに存在していて、宇宙の果てか、別の次元か、はたまた異世界なのか。それがなんの因果か、ゲートによって地球とダンジョンが繋がってしまった。まあそこでも、ゲートによって繋がったのか、繋がったことによってゲートが
”え? そうじゃないの?”
”こういう話大好き”
「まあ俺も、その考えを否定する気はありませんけどね。それ以外に考えられないし、俺は学者でもなんでもないから。でも……。アマビエ問題って知ってますか? アマビエが広く認知されて以降に繋がったダンジョンで、アマビエが出没するようになったっていう。そうとう話題になったらしいじゃないですか。シンクロニシティだとか、共同体意識がどうたらとか、今でも議論が尽きないみたいで。でも俺が気になったのは、そこじゃないんですよ。俺が初めてアマビエを見たのは、福島の
”そんなパチ屋の新装開店みたいなノリで……”
”俺、その時の配信観てた”
「本当はダンジョンパークができて、ある程度安全が確保されるまでは観光パスは発行されない決まりなんだけど。でもその辺、意外とガバガバで、普通に通してくれたりするんですよね」
”お前が特別なだけやぞ”
”なんでこの人、冒険者登録しないの?”
”「ミボランテ事件」で検索してみ”
”うわー、この流れ懐かしい。ジローのキャッチーさに惹かれて配信を観初めて、
”ジローを覗く時、ジローもまたこちらを覗いているのだ”
”やめろ
「その時はとりあえず十五階層くらいまで降りて、そこに拠点を張ったんだったかな」
”浅くない?”
”ジローの目的は攻略じゃなくてキャンプだから。他の冒険者の攻略が進むまでは、意外と上層階にいるよ”
”いや十五階層でも十分おかしいんやけどな”
”A級パーティが一ヶ月かける攻略を、数日でとりあえずだもんな”
「その拠点の近くに、アマビエの巣があって。話題になってたのは知ってたから、なんとなくキャンプしながら観察してたんですよ。凶暴な魔獣でもないから」
”魔獣って……アマビエ食ったんか……”
”一応注意喚起。アマビエは普通に凶暴なので、ジローさんの言葉を真に受けて不用意に近づくのはやめましょう。あくまでジローさん目線の「凶暴ではない」ですから。あと食べないでください”
「それで、気づいたんですよ。アマビエにもちゃんと歴史があることに。昨日今日、ぽっと生まれてきたわけじゃない。何十年、何百年ってダンジョンの厳しい生存競争を生き抜いてきた痕跡があったんです。あの個性的なビジュアルも、ただの飾りじゃない。進化の結果、あの形に行き着いたんだと思う。俺は『妙だな……』って思って」
”少年探偵かな?”
”体は
”でも確かにおかしいよね”
”アマビエが有名になるまでは、どのダンジョンにもいなかったんでしょ?”
「まあ理由なんていくらでも考えられますけどね。ただの偶然かもしれないし、もしかしたらダンジョンは、星の数ほど無数に存在するのかもしれない。アマビエが認知されたことで、アマビエのいるダンジョンが引き寄せられてきたとか。それならダンジョンに地域性があるのも頷けますからね。無数にあるダンジョンの中から、その土地に一番適したものと繋がるって考えたら。……うん、やっぱりそれが一番論理的な気がします。というか俺が知らないだけで、とっくに誰かがその仮説を提唱してそう。俺が思いつく程度のこと、誰かが思いついてないわけもないし。……うん……うん。やっぱりそうですね。たぶんそれが正しい。一番、筋が通ってる。
……でも俺は、アマビエを見た時に、なんとなく『世界五分前仮説』のことを思い出しちゃったんですよね。だから、もしかしてって……。俺も『世界五分前仮説』の説明をしてるって状態で、この世界に生み出されたのかもな、なんて」
”じゃあ俺たちは世界五分前仮説の説明を聞いてるって状態で、この世界に生み出されたのか”
”どこまでもモブやな”
”悲しい”
”ジローにしかない着眼点で、めちゃくちゃ面白い。他の人には、ダンジョンでモンスターの生態観察なんてする余裕あるわけないし”
”そもそもモンスターの生態になんて興味ないだろうしね”
”やっぱりこの人って、冒険者じゃなくキャンパーって感じだよね。ただの自称じゃなくてさ。色々すごいわ”
”さすがにあり得ないのはわかってるけど……なんか鳥肌立った”
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