第11話後編 ロン毛の逆襲
「いいんですかぁ? オイラ達の分までぇ…」
「良いってことさ。基本、俺の店の二階に泊まり込みで働いて貰うつもりだったし」
俺達は商人ギルドの帰りにテューが信用できる店だと紹介してくれた老舗寝具屋に寄っていた。
何故ならまだ俺の家にベッドが無いからです!
あの万能そうなダンダダ達も「人間用の家具は専門外ダ。鉄みたいに全部硬くて良いなら作ってもいいんダ!」と言われちゃあねえ~そりゃ無理ですよ。
因みに購入したのはベッド一式が
一階で寝る俺とンジの分で二台。
残念だが、ダンディーの重量に耐えられそうなものは見つからなかったで、暫く彼には毛布で我慢して貰う他ないだろう。
「ところで、二階の部屋で寝泊まりして貰う予定なんだが、ベッド一台で良いのか? 別に遠慮しなくても良かったんだぞ」
「ん? アタイらなら問題ないよっ」
「そこまで贅沢はちょっとぉ…それにぃ。オイラ達一応はぁ
――何だと!? 付き合ってるとかを通り越してあqwせdrftgyふじこlp
「一応ってなんだっ! イチオーって!?」
「痛っ! 殴らないでよぉ~」
「…あ。そうなんだ(急にテンションが下がる独身男性の俺氏)」
まさかの事実発覚であった。
…まあ、まあいいとしよう。
後で一応は、夜間は少し
奴隷だけども俺と同じ一階には年頃のハーフゴブリンの娘さんもいるんだし。
さて買ったは良いが、どう運ぼうか?
俺の魔法の小袋(汚)に収納してしまうのが一番手っ取り早いか。
「あっ! アタイに任せておくれよっ」
ニカァーっと笑うイノ=ウーは突如として大人二人が何とか持ち上げられる大きさのベッドを何かの冗談かと思えるように頭の上に乗せたかと思えば、左右の片腕で更に二台のベッドをそれぞれ持ち上げてしまった。
「これは驚きましたね…」
「すっ、すっごい力持ちさんデス!?」
「もぉ~。無茶しないでよぉ~」
「大丈夫だよっ! 不思議と
流石に俺も焦ったが、同時に納得もした。
成程。コレが彼女の
◉サピエンス/女(17)
◉タレント:戦士
◉スキル:運搬
最初に彼らと出会った時は市内の様子が気になって俺の対人『鑑定』スキルに気付けなかったが、一昨日に改めて彼女の能力を知ることができた。
恐らくこの怪力振りは(もしかすると素の部分も大きいかもだが)『運搬』スキルとやらの恩恵だな!
さて、もう一人のヴリトー君の方だが…。
◉サピエンス/男(18)
◉タレント:料理人
◉スキル:解体
彼も彼で実に興味深いだろ?
『料理人』と『解体』の組み合わせは現時点では何とも言えんが…今後の商品開発とかで大きな戦力になってくれそうじゃん?
取り敢えず、ベッド三台を装備した彼女がウッキウキで俺の店のある区画へと移動を開始してしまったので俺達は慌ててその後を追う。
彼女の存在に気付いた者達が逃げるようにして路を開けてくれるもんだからかなり早く戻ってこられたけどな(笑)
「すっげえっ! あの凄い御屋敷が大旦那の持ち物なんですかっ!?」
「うおおぉうぉ~…」
「まあ、まあな(照) …ん? あれは」
「あ。ムール様達デス!」
どうやら今し方迄、ンジとダンディーを手元に置いていた奴隷商であるムールの親父さん達が俺の店にまで来ていたらしい。
もう帰っていってしまったが…まさか、開店祝いに?
コッチはまだ売る物もないってのに気が早いなあ~。
外ではダンディーがただ黙って去り行くムール達を見ているようだ。
「お~い。だだいま! ムールの親父さんが来てたのか? どんな用事だった」
「…………。…単なる世間話のようなものだ。我が主人が気にすることでない。それに、また近い内に顔を出す」
「…そっか」
…………。
……俺の気のせいなら良いんだが…ダンディーの顔はいつにも増して硬いっていうか凄味があったような気がするんだが?
「それと、我が主人が自分の寝床を用意してくれたことを感謝する。だが、今夜は夜風に当たっていたい気分なのだ。朝まで外にいる許可が欲しい…」
「ええ~? 別にいいけど…いつでも中に入ってきていいからな?」
「感謝する。ところで…イノ=ウーとヴリトーだったな。……少し、話がある。中で荷を検め、陽が暮れた後で外に出てこい」
「鱗の旦那…? わかったよっ! ヴリトーも…いいねっ?」
「わかったぁ」
お。早速仲良くしてんのね?
ただ俺をちょっとハブるのは寂しいから出来れば止めて欲しい…(哀)
「…………。……エドガー様。御夕食に招かれておりましたが、急用を思い出しましたので。申し訳ありませんがここで失礼させて頂きますね」
「アッハイ」
何か知らんがテューも帰っていっちゃったよ。
何なんだろ?
ンジの奴もずっとムールの親父さん達が帰った方向見てるし。
「んじゃ中を案内するぞ! 入ってくれ」
俺は気を取り直して二人を我が城へと招き入れた。
その後、イノ=ウーのお陰で楽々二階と一階の各部屋にベッドを運び終えると、今度は俺が小袋に収納していたギルド経由で購入したカウンターやら商品棚やらを取り出して一階の店スペースと倉庫にドンドン出していく。
因みにお安くして貰って、総額金貨二枚(40万リング)でした。
流石に初めて俺の魔法の小袋(臭い)を見た二人は驚いていたが、コッチから見りゃイノ=ウーの怪力振りの方が余程驚くに値するんだがな?
ある程度を設置だけ終わらせたら夕食である。
一階住居スペースにある広めの炊事場で早速
…だが、ンジに呼びに行かせてもダンディーは外から戻ってこなかった。
すっかり夜も更けてしまったが、元の世界の様にテレビもゲームも大した娯楽もないので仕方なく俺は自分の部屋に早々に引っ込んで寝ることにした。
お休みまた明日!
$$$$$$$
だが、ダンディーのあの様子が気になってよく寝付けない俺はふと真っ暗な部屋の中で目を覚ました。
…何か胸騒ぎがするんだよなあ。
水でも飲もうかと起き上がろうとしたその時――…事件は起きた!
布団の下で何者かが俺にしがみ付いていた。
…ンジ、だ。
ああ~…コッチ? コッチ系のハプニングだったかあ~(顔を覆う)
あの実は若夫婦だった二人に触発されちまったのかねえ。
どうしたもん…か…?
――ンジは震えていた。
「どぅした?」
「…ゴ主人様っ。しっ、知らない人がいっぱいアタシ達に向って近付いてきてるんデス」
「な、何ぃ!?」
ど、泥棒か! 俺の店にはまだ何もないってのになんてせっかちな野郎だ!
いや、何でそれがンジに判る?
あ。もしかして『魔力感知』スキルか!
「だっ、だが、こうして部屋に引き籠もってるわけにはいかないな(膝ガク)」
「ゴ主人様! でっ、でも…!」
何故かンジの奴が俺達の身の危険の他にも理由がありそうな目で俺を見て目をウルウルさせているみたいだ。
だが、出入り口がある店内スペースの方から物音が聞こえたので、堪らず俺はそっとドアを開いて薄暗い中を壁を背に這いながら様子を伺う。
すると、そこにはキッチリ武装した冒険者コンビが扉から外の様子を伺っているようで俺達に背を向けていた。
「何してんだこんな夜中に? 腹減ったの?」
「あぁ! バレちゃったぁ~…」
「大旦那っ!? そんなパンイチで迂闊に部屋から出てくるんじゃないよっ! 外に来てる
「嘘ぉ!?」
確かに防音性の高いクリスタル板に遮られてはいるが、微かに誰かが何者かを呼んでいるみたいだ。
ぶっちゃけ怖い。
漏らしそう。
――…だが、外のダンディーはどうする?
「…ンジ。
「…っ(コクリ)」
「大旦那っ? まさか外に出る気かいっ」
「当たり前だろう。この
俺は呆れる二人の前で胸を張るこのドヤ顔である(ただしパンイチで)
…ンジ。頼むから早く服を持ってきて下さい。
「誰だか知らんが、まだ開店前なんだが?」
颯爽と飴色のスーツに着替えた俺は他の三人を伴って開き戸を開け放ってその招かれざる客達の前に出てやった(これを俗に“後悔先に立たず”と言います!)
「馬鹿者! 我が主人を外に出すなとあれほど言っただろう!」
「すまないっ鱗の旦那っ!?」
おお…流石に怒ると怖い
だが、そんなオコな彼の背後には十人近くの松明を持った連中がいやがるようだ。
……ん? その中心でやたら騒いでる奴どっかで見たような?
「遂に諦めて出て来たな!? この詐欺師野郎!」
見覚えのある髪色の長髪を振り乱す男……ああ!?
「お前はあの時の
*リザルト*
@各話別諸経費
店内用具購入代として:
銀行から金貨2枚(40万リング)
寝具購入代として:
銀行から金貨3枚(60万リング)
★資金(※金貨と金貨以上のみ記載)
現金:金貨972枚(1億9440万リング)
銀行:金貨685枚(1億3700万リング)
★物資その他
魔法収納の革袋(汚)
飴色のスーツ(装備中※60万リング)
★雇用(扶養)
ダンディー(護衛奴隷※2000万リング)
ンジ(従業奴隷※1000万リング)
イノ=ウー(冒険者※月給20万リング)
ヴリトー(冒険者※月給20万リング)
★身分・資格及び許可証
商人ギルド三等級商会員(全国共通)
Ⓒの5増改築許可・物件関連の市諸税免除(三年間)
★店舗(不動産)
Ⓒの5(開店準備中)
★流通・仕入れ
現在は未だ無し
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