第24話
わたしさえ良ければ?
「あの彼氏に疲れたら、いつでも言って。」
疲れたらって……。
そんなこと……。
なんて返せばいいか悩んでいると、穏やかな薫くんは、こんな時にもその笑顔を崩すことはなく。
「片想いって、結構根気がいるんだよ。」
「根気…」
「そう。忍耐力とも言うかな。」
「忍耐力…。」
「だから、光が辛くなったら……思い出してくれない?」
思い出すって……。
「……薫くんのことを?」
「うん、そう。もし彼とどうにかならなくても最悪、俺はいるか、くらいにさ。」
ええ?なにそれ……。
多分、薫くんなりの優しさで、私を笑わせようとしてくれているのだろうと分かり。
話している内容は結構、重ためなはずなのに、薫くんが話すとなんだかとても和やかな空気が流れているという不思議。
「薫くん、ありがとう。」
「うん?」
「昨日はああ言ったけど…、帰ってから実は少し気にしてた」
あんな風に語っておいた手前、自分に呆れながら笑って言うと、紳士的な男は何を言うでもなく小さく何度か頷いた。
"その気持ち、分かるよ"と薫くんの心の声が聞こえてくる。
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