第21話

だって……、わたし薫くんに何かした?



好かれるようなことをした覚えがなくて。



シンプルな疑問をぶつけると、当の本人はやや悩みながら首を傾げていて。



「うーん。改めてなんで、って言われると……。」


「……」


「でも強いて言うなら、顔が好きかな」


「…顔?」



え、顔?わたしの?



「…それだけ?」



あまりにも拍子抜けな答えが返ってくるので、思わず眉を顰めて薫くんを見ると本人はくすくすと笑っていて。



「それは、不満なの?」


「そうじゃないけど…、それだけで好きになれるものなのかと思って」


「なれるんじゃない?実際、なってるし」



えー……。なにその感じ。


なんとなくもっと明確な理由があるのかと思っていから、その回答の軽さにびっくりした。

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