第20話

「ごめん…。とにかく、母親が言ってたこと気にしないで」


「ん?」


「みんなで食事会がどうとかって…」


「ああ…。でも光の家との食事会なら、むしろ俺の親も喜んでしたがると思うけどね。もちろん光が嫌なら止めておくから大丈夫だよ」



わたし?



そう言われると、わたしが嫌と言うよりは、薫くんと薫くんの家に迷惑だろうと思ったからで…。



食事会なんて開かれた時には、鬱陶しい空気感をまた出されるのは目に見えているから。



「嫌なわけじゃ……、また母親が薫くんとの仲を勝手に勘違いしてきそうだから」



うんざりした気持ちで呟くと、何を言いたいのか分かったのか薫くんが軽く笑い。



「俺的には好都合だけどね」


「うん?」



好都合って?


横を見上げると、柔らかい雰囲気を持つのにどこか凛としている男が目じりを下げていて。



「好きな子の親には、嫌われるより好かれてたいし」



またも予想していなかったことをハッキリと伝えてくる薫くんに、横を見上げた。



「……薫くんって、」


「ん?」


「なんでわたし?」

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