2.
第19話
***
「光、お疲れ様」
今日の分の夏期講習の講義が終わり帰り支度をしていると昨日ぶりの薫くんに後ろから声がかかった。
「お疲れ様。薫くん…も、もう終わり?」
「うん。外まで一緒に行こうよ」
軽く誘われるので断る理由などなく、頷いて二人並んで教室を出る。
「昨日は本当、ごめん」
講義の間で多少ザワついてる廊下を歩きながら、さぞ、ウザかった事だろうと思い謝ると、薫くんは相変わらずに柔らかい雰囲気でゆるっと笑う。
「全然。俺の親もあんな感じだから、なんか光の言いたいことよく分かるよ」
薫くんの親もって…。
まさか、そんなわけないだろうけど。
どの方面にも気を遣える薫くんは、きっとわたしが気まずくならないようにそんな嘘まで言ってくれる。
────昨夜の険悪な雰囲気を母親は今朝まで気にしていた。
わたしが言い返したことが余程珍しかったからか、様子を伺っていたので完全に無視して何事も無かったように対応していたら向こうもいつも通り接してきたけど。
母親に露骨に嫌な態度を取りすぎたかもしれない。
全てが憂鬱になり、小さく息をついた。
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