第17話
「知りもしない人間の悪口言うより、そんなのマシじゃない?」
明らかに動揺している母親が焦ったように口を開いた。
「何をそんなに怒ってるのよ。あのね、知らなくたって想像つくでしょ?ああいう人達はきちんとしてないって事くらい、」
「きちんとって…。それは自分の中の価値観で決めた基準でしょ。…だいたいお母さんって自己評価高いよね。」
「え?」
「自分は完璧だとでも思ってる?」
「何言って…」
「だから偉そうに出てけなんてこと口にするんでしょ?」
「別にそんなつもりじゃ…」
「だったらそうやって思うのは勝手だけど、一緒にしないで!わたしは否定しないからって同調してるわけじゃないから」
言いたかったことを吐き出して、困惑する母親の顔を一瞥してから自室の中へ入り鍵を掛けた。
「ちょっと…光っ!待ちなさい!」
慌てて母親がわたしを呼んだけれど、無視すると意外にもそこからドアを叩かれるわけでもなく呼び戻されることもされず。
今までいちいち反論したことなどないので、相当戸惑っているのかもしれない。
母親の愚痴など聞いたふりをしておけばいいのに……。
でも、どうしても腹が立ってしまった。
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