第16話
「やっぱり付き合う人間は選ばないとね。息吹さんのお宅、早いとこ出ていかないかしら」
わたしが玄関で靴を脱ぐと、無視しているのに後ろからはブツブツとそんな小言が聞こえた。
母親のくだらない小言に付き合うのは無駄だ。
だけど、自分の部屋のドアに手をかけたところで、その手が止まってしまい。
聞かないふりでもしておけばいいと分かっているのに、わたしの口が勝手に開いた。
「…あのさぁ」
「ん〜?」
「何がそんなに嫌なわけ」
「え?」
「お母さんって、息吹さんちに何か嫌なことでもされたわけ?されてないでしょ?てか、されるわけないよね。」
藍が、蘭さんや藍のお父さんが、そんなことするはずが無いもんね。
捲し立てるように言うと、わたしの様子を見て少々困惑気味の母親が首を傾げる。
母親からすれば、いつものようにただ話していただけのこと。
向こうからしたらわたしが突然怒り出してるようにしか見えてないんだろうけど。
「なによ、光…どうしたの」
「どうもこうもないから。何がそんなに気に入らないの?見た目が派手だから?夜中に出歩いてるから?お母さんが若いから?水商売やってたから?だから?それが何?」
「それが何って……」
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