第13話
「楽しみだわ」
勝手に楽しみにされても困るから!
相当薫くんを気に入ったのか、上機嫌な母親の暴走をわたしは止めることができず。
もういい。
この話は後で薫くんにちゃんと謝って無かったことにしてしまえば…。
薫くんが私のうんざりした表情を見て、やや苦笑いする。
「じゃあ、そろそろ失礼します。」
区切りのいいところで薫くんが挨拶をするので、随分長く引き止めてしまったことを申し訳なく思う。
「そうよね。また今度ゆっくりお話しましょ」
「はい…。光、またね」
「うん、ごめん。引き止めちゃって。」
「ううん、話せてよかったよ。また明日」
そう言って最後まで嫌な顔一つしない薫くんは軽く会釈すると駅方向へと向かっていく。
その姿を見ながらちゃんと明日謝ろうと思っていると、横から母親が嬉しそうにわたしの腕を軽く叩いた。
「ちょっと光!やるじゃない〜!あんないい子とお付き合いしてるなら、もっと早く紹介してくれたら良かったのに」
キャッキャと楽しそうにしている母親は、わたしの言ってることには全く聞く耳を持たない。
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