第11話

「…もう、勝手に話進めないで。別に薫くんとはそんなんじゃないから」


「なによ、そうなの?」


「薫くんに迷惑だから、やめてよ」


「迷惑ってねえ、光ってば……。ごめんなさいね。この子ってば、ほんと愛想がないのよ」



あるから。


こういうことさえ無ければ、わたしは基本的に誰にも愛想よくしてるから。



薫くんとくっつけたいらしい母親が鬱陶しい空気感をだすので、冷たい返事をしていると、エントランスの自動ドアが開く音が聞こえる。



何気なく目を向けると、そこから出てきたのは先程まで一緒にいたはずの藍と────その後ろを俯いて歩く春ちゃんで。



「……」



藍も私たちの存在に気づき、二人を眺めていたわたしと目が合った。



だけど、こんな状況でお互い話しかけられるわけがなく……。



「薫くん、光のことこれからもよろしくね」



はあ?



二人に気を取られてるとまたしても暴走している母親が勝手に薫くんとの仲を進めようとしていて。



「ねえだから、そんなんじゃ…」



そこまで言って、再度鬱陶しい母親に釘をさそうとすると、何を思ったのか薫くんがわたしの肩を軽く引き寄せ。

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