第8話
***
祭り会場を抜けると宣言通り、薫くんが家の前まで送ってくれ。
「ありがとう」
「うん、また明日。」
エントランス前でひとこと二言話していると、背後から「ちょっと…光?」と聞きなれた声がして……。
最悪……。
振り向かなくても誰か分かり、渋々ながら目を向けると、母親があからさまに怪訝そうな顔で私と薫くんをみていて。
「光、なにしてるのよ。塾は?」
薫くんがいる手前、強くは出られないのかいつもよりは数段落ち着いたトーンでわたしに声をかけてくる。
とは言っても内心は隠せてない。
開口一番に出る言葉が『塾は?』って…。
ややうんざりしてると、状況を察したらしい薫くんが穏やかな笑顔を浮かべる。
「…こんばんわ」
常識的な薫くんが愛想良く挨拶をすると、薫くんを舐めるように見ていた母親も「ええ。……どちら様?」とよそ行きの笑顔を浮かべた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます